まず、生理的にグロテスクな文章を受け付けない人には向かない。
作品の出来やテクニックなどとは別の次元で、ある意味、新堂冬樹氏のソッチ系の著作同様、これはもうどうしようもなく付きまとう問題である。
そこをクリアすれば、著者独特のチャレンジングな世界観造りの奥行きが見えてくるだろう。
小品ごとのバラつきはあるが、根底に通ずる脊柱は一貫している。
最後に収められた「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」のパワーときたら、圧巻と評する他ない。
おぞましいとも形容できる、本短編集において随一を極める凄惨な描写が続いて吐き気すら覚える中、細いけれど堅実なピアノ線のごとく通っているまさに骨子が、物哀しい。
他作品についても、展開や終息が凡庸に感じられるものがあるものの、切り口というか発想は平山夢明氏ならではのユニークなものになっている。 |