海洋空間佳本


DIVE!!(上)DIVE!!(下) DIVE!!(上)」「DIVE!!(下)
★★★★★
森絵都
角川書店

2013.6.15 記
もうこれはズルいんじゃないのか、っていうぐらいにマトモな作りが確かな技術によって支えられているから、面白くないわけがない。
設定も展開もベタという他ないが、何のストレスもなくズイズイ読み進めていくことができ、クライマックスでは分かっていても感動させられてしまうのが、人間の精神の単純さよ。

あえて1つだけ、私見を述べるとすれば、この物語では知季、飛沫、要一の3者がそれぞれほぼ均等なウェイトを背負って主人公として描かれているが、その選択肢でいくのであれば、小説冒頭のシーンは恐らく余計だったか、少なくとも違う箇所に挿入されるべきだったように感じる。
1ページ目の1行目がどう始まるかというのは、案外無視できない暗示にもなり得るので、あのミスリードはこの書の場合、プラスには働かないように思う。

文庫上巻のあとがきをあさのあつこ氏が、下巻を佐藤多佳子氏が書いているというのが、図らずとも象徴的過ぎる、そんな良作。





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