海洋空間佳本


ダイナー ダイナー」★★★★☆
平山夢明
ポプラ社

2013.9.10 記
確かに精緻な名人芸だとは思うけれども、どうしたって反吐が出そうになる拷問や殺しのくだりを読まされている時は、ああ分かってたのになんでまた平山夢明買っちゃったかな…、と軽い後悔を覚えたものだが、話の骨格はしっかりしていて、これをノワール、あるいはピカレスクと言っていいのかどうかは分からないが、殺人者ばかりが出てくる狂った世界を実に面白く描いてくれている。
ボンベロを始め、各キャラクターも魅力的な個性を与えられて、明瞭なイメージが脳内に浮かんでくる。
読んでいて吐きそうなほど気分が悪いのに、涎が垂れそうになるほど食欲を刺激される、というまったくおかしな感覚を同時に味わわされる、ボンベロの作る料理もまたこの作品の中核に位置する、欠かせないエッセンスだ。
ラスト、落ちのつけ方があまりにオーソドックスだったのが少し拍子抜けではあった。





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