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「脱出記」★★★★☆
スラヴォミール・ラウイッツ
ヴィレッジブックス
2011.7.11 記 |
文字通り生と死の境目をギリギリの状態で潜り抜けた十数年後に、回想するという形で口述筆記したルポタージュのようだから、ノンフィクションとはいえ時系列、細かい事実関係等に関しては必ずしも完璧に再現されているわけではないと思うし、全体構成のバランス含め、実際に彼らの身に起こったドラマティックな数々の出来事が背負う重大性の強度と、その描写に費やされた紙副の分量というものが適切に釣り合っているような気はしないが、それすらもともすればリアリティを高める材料となっている。
そもそも我々の想像を遥かに絶するものは、声高に強い調子で叫ばれるよりも、スムーズに静かに語られる方が沁み入る。 |
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