一言で言うと、「やられた!」、そんな感じ。
プロットや世界観やディテールはもちろん全然違うんだけど、構造的には貫井徳郎氏が得意とする叙述パターンをちょっと髣髴とさせるかも。
確かにいわゆる純文学作品が有しているような大仰なテーマはここに含まれていないかもしれないが、そういう上段に振りかぶった気負い抜きでただシンプルに、時間軸が異なる2つの物語が巧緻に絡み合い、組み上げられている様を楽しむことができる傑作だと思う。
ちょっと気取ったキザな文体も、小気味いいテンポを生み出しているんじゃないだろうか。
繰り返すが読者としてひたすら単純に、先が知りたくて読むのを止められなくなる小説。 |