海洋空間山男日記


次の月
前の月


2022年3月19日(土)
タイミングとご縁
朝も一緒に遊んだ

犬友とジェイズヒルガーデンオッキニへ行ってきた。
実は今月から丹波や丹波篠山の関係各所に、近い将来を見据えて問い合わせなどを始めたところなのだが、今日オッキニで居合わせた方が、ちょうど家を手放そうとしているとか何とか…。
オーナーのTファミリーのご近所さんで、その家も非常に趣深そうな雰囲気。
一度妻と訪れてみるかこれは…。

皆が集うオッキニ

リトルランカにも立ち寄り

2022年3月14日(月)
六甲縦走トレイルラン完走、いやほとんど完歩
先週末の土曜、神戸六甲縦走トレイルランに出場してきた。
元々は2年前の同大会にエントリーしていたが、新型コロナの影響で翌年に順延。
その順延分の去年に出る予定をしていたものの、雨のためDNSを決断したという経緯がある(天候を口実に怖気づいたという説も)。

当日は5時半に起床、リンゴと少しのパンを腹に収めて家を出た。
道中の行動食として用意したのは、炒り玄米、ミックスナッツ、ドライブルーベリー、スポーツミネラル。
地勢的に東六甲の方は馴染みがあるが、西六甲のトレイルはほぼ未踏で、スタート地点の須磨浦公園へも初めて行った(神戸マラソンを走っている時に横目で拝んでいたと思うが)。
天気は最高で、受付を終えた7時台で既にメリノウールのベースレイヤー1枚で寒くなかったので、昼間はかなり暑くなりそうな気配。
下は短パンにしたが、結果的にこのトップスの選択で日中は流れる汗が止まらぬ羽目に…。

スタート地点の須磨浦公園

第1ウェイブから5分遅れの8:35にスタート、まずは渋滞の中、トコトコと鉢伏山へと上っていく。
1時間5分ほどで序盤のハイライトと言える須磨アルプスの馬の背に差し掛かった。
東六甲の芦屋ロックガーデンに匹敵する奇景だ、まさしく。
GoProを構えていて下りの木段でコケてしまった…幸い怪我はなし。

馬の背をバックに ここまではまだ順調

住宅街とちょっとしたトレイルが繰り返される道をじわじわと上っていき、最初のエイドである鵯越駅を目指す。
何の味気もなく退屈極まりない階段は、ただただ苦痛でしかない。
そしてこの時は気付く由もなかったが、この区間にある下りのトレイルで調子に乗って飛ばしてしまったことが、脚筋(特に内側広筋)に大きなダメージを与えることになった…。

菊水山頂

途中出会ったリピーターランナーに頂いた情報通り、菊水山、そして鍋蓋山への上りはきつい。
そして菊水山あたりでスタートからの距離が15〜16km程度なのだが、既に太ももの前部に激しい疲れを感じ始めた。
いくら何でもこの距離で…と自分の不甲斐なさに呆れつつ、それでもここで匙を投げるわけにはいかないので(そもそもリタイアするにもどこかのポイントまで進んでエスケープしないといけない)、体を騙し騙し足を運び続ける。
ここにきてようやく、下りで飛ばし過ぎたせいではないかと思い当たった。
シューズがALTRAだったことも影響したか、もしかしたらHOKAとかだったら違ったかも?
ただ、山では地面をしっかり感じたいと思ってチョイスしたので、そこに後悔はなく、シンプルに私の力不足、圧倒的なトレーニング不足以外の何物でもない。
鵯越駅を出て間もなく右手に現れる、夏にドボンしたら気持ち良さそうな川の景観に癒された(残念ながら写真を撮る心的余裕なし)。

鍋蓋山からの展望

出発から5時間弱で、第2エイドの再度山 大龍寺に何とか辿り着いたが、「このペースでいけますかね?」とスタッフの方に尋ねる気弱ぶり。
そして目の前では、リタイアを決断したランナーたちがスタッフに付き添われてエスケープルートへと向かっていく姿が…。

川原でBBQを楽しむ人々

市ヶ原の川原で繰り広げられるBBQから漂ってくる、肉が焼ける美味そうな匂いに鼻をヒクつかせながら、こちらは地獄の上りへ取り付き、摩耶山を目指す。
"どこから上ってもきつい"と称される摩耶山、だいぶ前に王子公園からアタックしてハアハアゼイゼイしながら1時間をギリギリ切ったことがあるが、その時同様、今回の稲妻坂〜天狗道ルートも厳しい。
途中、何度か息をつける平坦区間があるのがせめてもの救い。
もはやトレイルランではなく、ただのハイキング。
後でログを見ると、中盤以降の区間はヤマケイが定めるコースタイムの80〜90%ぐらい掛かっていた。
暑さのせいか、少し吐き気を催す時間帯もあった。

こういう時はコーラが美味い

約6時間55分で24km地点、第3エイドの摩耶山に這う這うの体で到着。
「ここまで来たけどもう次の関門は無理、ましてやゴールまで行くのは絶対に不可能だ」と断じ、心の中はリタイアする気満々、さあここからロープウェイで帰るかと、その旨申し出たら、スタッフのお姉さんに「まだいける! 今諦めたらもったいない! 大丈夫 !」と元気付けられ? 許していただけず、「あと1時間で5km、全部歩いてたら間に合わないよ!」と威勢よく送り出されてしまいました(涙)。
天狗道という何とも恐ろしげな上りへと歩を進めるのみ…。

アゴニー坂なんて名前付けるか?

丁字ヶ辻に出るとあとは舗装路を1kmちょっと進めば最終チェックポイントの記念碑台。
ここにきてゾンビのような体に鞭打って走るぐらいなら、休憩をもう少し短くしておけばよかったとか、第1ウェイブだったら良かったのにとか、そもそも上ったり下りたり、なんでせっかく上がったのにまた下りなあかんねん! と無性に腹が立ったりとか、様々な思いが去来したが、関門最終締切7分前の16:23に最終エイドに滑り込むことができた。
道中、励まし合った近くのランナーたちも皆クリアでき、スタッフの方たち含めまずは足切り脱出を喜ぶ。
あとは不慮の事故や怪我さえなければゴールまで行くことが許される。

締切7分前に最終エイドに到達

記念碑台を離れ、目指すは六甲最高峰。
舗装路に沿って真っ直ぐ行くのがもちろん楽なのだが、縦走路に定められているのは、道路を横切って出たり入ったり、上ったり下りたりするトレイル。
ここまでやってきて細かいズルをするのもアレなので、もちろん素直に縦走路を辿るが、正直しんどかった…段差が心底嫌いになった。

最高峰では一応笑顔

最高峰を出たら、あとは魚屋道を約4km、有馬温泉まで下るのみ。
最後の1km程でついに山中はライトが必要になり、残念ながら明るいうちにゴールとはならなかったが、ついに湯泉神社へと辿り着いた。
タイムは10時間13分、ビリから数えて何番目か、という成績ながらも、ゴールすることができた。

ゴールの湯泉神社

コンディショニング&補給の失敗、下りでの飛ばし過ぎ、暑さに降参、そもそも絶対的な実力不足等々、敗因として思い当たることは多々あり、中盤以降はもはや気力のみ。
今の私の力でエントリーすること自体が無謀だったわけだが、終わってみて強く感じたのは、「もう無理、限界」と思ってからも意外と人間は粘れるということ。
「もうダメだ」という意識が脳を支配し始めたのは、全行程の僅か1/3ほどしか来ていないうち。
まさしく生ける屍となって前進し続け、前述のように摩耶山でリタイアが受け入れられなかった時は、スタッフのお姉さんを鬼かと思ったが(笑)、結果的に大きく救われた形となり、心から感謝しなければならない。
これまでマラソンやトライアスロンなど、数十の大会に出場しているが、遅いながらもそのすべてで完走しており、未だに途中棄権は一つもなかったので、継続できて胸を撫でおろした。

ラストオーダー滑り込みで近隣の店に入ってうどんとおにぎりで腹を満たし、銀の湯に浸かってゆっくり体をほぐしてから、家路に就いた。

ここで入る温泉は本当に極楽

人間の顕在意識は、本当の限界よりかなり低いところに、"もう限界"と誤解させる閾値を定めているらしい。
「無理だ」と思ってから、もうひと頑張り。

2022年3月5日(土)
久々のコンサート
兵庫県立芸術文化センターに行ってコンサートを聴いてきた。
そらみを家族に迎えてから、休みの日にこうして出掛けてエンターテインメントを楽しむ機会は激減したが、村治佳織さんのアランフェス協奏曲に加えて、去年一躍その名を轟かせた反田恭平さんのショパンが聴けるというので、馳せ参じた。

パンフレット

アランフェス協奏曲はいきなりギターのソロイントロから幕を開け、あの静寂の中、満員の聴衆を前に…と想像しただけでちびりそうになるが、一流のプロに対して余計な心配にもほどがある。
哀愁を帯びたメロディラインが印象的な第2楽章はよく知られているが、第1、3楽章はこんなにも軽やかな雰囲気だとは初めて知った。

続いてはメンデルスゾーンの交響曲「イタリア」。
指揮もイタリア人のガエタノ・デスピノーサさんというマエストロで、陽気なキャラクターであろうことが背中越しにも感じられる。
例えば佐渡裕さんが大きな体を活かして力強くタクトを振るのとは対照的に、軽快な動きでジャパン・ナショナル・オーケストラを率いていた。
特にラストの第4楽章では、マエストロもオーケストラもノリノリなのが伝わってきた。

そして満を持して反田恭平さんが威風堂々と登場。
演目はピアノ協奏曲第1番 ホ短調だったが、ショパンのピアノってこんなに音数多かったんだ、と、どちらかといえば小品を多く聴いていた自分にはちょっと衝撃だった。
そしてまだ20代ということが信じ難い、底なしの深みを感じさせる表現力。
既に巨匠の風格さえ身に纏っているような、さすが世界2位。

ラストのアンコールは、村治佳織さんのギターと反田恭平さんのピアノ、そしてなんと今まで指揮台に立っていたマエストロのガエタノ・デスピノーサさんが団員のヴァイオリンを拝借して小脇に抱え、トリオ編成でピアソラのアヴェ・マリアを演ってくれた。

当初予定していたスペインのオーケストラが来日できず、急ぎ曲目を含めて編成し直された東芝グランドコンサート2022だったが、もちろんチケットは完売で満員御礼、私も心より満足してホールを後にすることができた。





戻る

表紙