海洋空間女であり過ぎた女の日常



第29回 ガニメデの少女 後編   2005.6.5



次女のお泊まり発言について、話し合う時間がないまま朝になり、
みんなで慌てて家を出たので彼女が納得したのかどうかわからないまま夕方に。

話は変わるけど、職場の同僚のお姉さん(推定20代後半)に、
お目目ぱっちりなロングヘアのお人形みたいな可愛い女性がいる。
あまりお喋りな性質ではなさそうだけど、喋るととてもとてもタルソ〜な口調。
声を荒げることは決してないだろう感じ。
が、ぱっちりオメメで冷たく睨む様を見ると、例えば殺したら化けて出る、
それも枕元に黙って睨みながら立ち続ける、
という出方に違いないような静かな迫力をもった素敵な女性だ。

派遣ではデータ入力の仕事をしているんだけど、
データを送信する時パッパと送られることはあまりなく、
送信が完了して次のデータを送信するまで結構な時間がかかる時がある。
丁度そんな感じの状態で彼女と隣合って座っていたので、
くだらない話をしててポロッと次女の話題になってしまった。

「下の娘っていくつだっけ?」
「こないだ、16になったばっかなんだよね」
「へ〜、…早いのかな? 今どきは普通なのかなぁ」
「…」
「でもさ、あたしの高校の時も結構友達にいたよ」
「なにが? お泊まりが?」
「ん…それとかぁ、修学旅行とかさ」
「え? どういう意味?」
「修学旅行で喪失するって、結構あるらしいよぉ」
「ど、どうやって、どこで」
「いやぁ、女の子数人で男子の部屋に行って、そこでぇ」
「うっわー安っ!
 初めての体験が修学旅行で、古びた日本人形が飾られてるような部屋で!」
「そうそう、畳なんかけばたっちゃってたりしてね。アハハ」
「んで、日本人形が見守っているというシチュエーションで」
「もう、関係ないんじゃない。若いから」
「ううううぅ…なんかさ、修学旅行も初体験も青春の1ページさ確かに。
 一つ一つとってみれば、美しい青春の思い出になりそうな出来事だけど、
 なんでそこで全然関連のない出来事をコラボレートしちゃうかなぁ高校生わ」
「アハハ」
「そんなところが、なんか安くない?
 安いなりに一つ一つを独立させたら、それなりに感じるんだけど。
 ぁ、たった今思いついたんだけど、
 自分の娘にこんなこと思うのもどうかと思うんだけど」
「なに?」
「帰って来たときガニマタだったらどうしよう…てなことを思いついて、
 バカだ自分って笑っちゃったよ」
「ギャハハ! ガニマタかぁ」
「Tさん(彼女の名前)のお母さんって、心配性だったりうるさかったりってなかった?」
「んー…うちの母親はよっぽどでないと気づかない人だから」
「…」
「…」
「よっぽどガニマタだったらってことか!」
「そうそう、かなり外向きに開いてるアハハ」
「それ、お母さんが気づく前に回りの人が気づくよ。
 てか、声かけるよ、ガニマタですよって」

そんな頭の悪い会話をしながら心配をそらしてた最中にアヤからメール
<なんで、泊まっちゃだめなの?>
おい…帰ってから話し合おう。
とにかく、今日は帰ってきなよ。
<今日はって、いつならいいの? 今日泊まりに行くって言ったもん。いいでしょ?>
あぁ、メールまで頭悪い。

仕事にならず、帰りの地下鉄へ向かう道中でも電話
「言いたくないけど、彼氏はこのことどう考えてんの?」
「なんにも考えてないよ、あたしが泊まりたいって言ったんだから」
なんだとそれは駄目だろう!

「はぁ? じゃ、もし子供できたらどうするの」
「そんなことしてないし、もしできたら結婚すればいいじゃん」
「結婚って、アンタいくつさ?」
「16は結婚できるんだよ」
「親の許可があればでしょ!」
「そうだよ。認めないつもり!?」
脅しかい…。

溺れきっている女に何を言っても無駄だ。
しかも、私の状態は最悪にして議論などできるような頭ではないのだし。
言葉がスラスラ出てこない状態なのに、こんな会話。
お互いに頭が悪くて話にならない。

結局は、お泊まりせずに帰ってきたところで、
今後お泊まりに行くなどとは言わないということに落ち着いたけど
(そこに落ち着くまでもう一騒動あったが)、
せめて、せめて私がもう少しマシな状態になるまでは
そんな行動は慎んでほしいというのは、親のワガママですかね。
「みんな、普通に彼氏とお泊まりしているよ!」
というアヤの言葉。
えぇ、えぇ。
現実そうでしょうが。
でもね、世間の物騒なニュースを見聞きして、とても穏やかではいられないのですよ。
頑張って子離れするから、もう少し待ってくれないですかね。
お願いしますから。。。。

ところで、タイトルの「ガニメデの少女」というのは、
昔「ガニメデの少年」というマンガだったか小説があったような気がして
そこから持ってきた。
「ガニマタの少女」だと、タイトルまで頭悪くてしかもリアルで下品で
微かに残っている私の品性が許せなかったのよン♪
♪マーク使っているけど、泣いてます(: ;)






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