海洋空間女であり過ぎた女の日常



第10回 ブラザーの礼儀作法   2003.7.16



少し前の話なんだけど。

仕事の帰りが8時、9時、10時という時間帯が多くなってきた最近、
渋谷は道玄坂を通って駅に行くのだけど、
なんかチンピラが多いな?という日々が続いていた。
チンピラなんて、あまり表に出てこないイメージが強かったのに、
4〜5人の固まりで道を塞ぐようにしているのをよく見かける。

「何か、イベントでもあるのでしょうか?」

と聞くわけにもいかないが…。
柄が悪いわ道を通れないわ(通るんだけどね。帰れないと困るもんママ)、
物騒なのかなぁと感じていた頃の木曜の昼休み、
定期券を買いに駅まで歩いていた。
「ん?」
道玄坂の車道のど真ん中に、ブラックスーツを着崩し、
少し開いたシャツの胸元からは金色のネックレスがシャキーン☆な、
強面本職のお兄さんが立っている。

クラスでいえば、「兄貴」

なぜ車道のど真ん中に?真昼間に??

と思って、見ていたら、これも車道のど真ん中に黒いデカイベンツが止まっている。
強面の「兄貴」
反対の車道のど真ん中で睨みを効かせて立ち塞がり、車を止めている。
なんか、ホントにヤバイ方々の登場だ。
「これから、何が起こるのか??」
一気に周りの空気が変わった109の交差点。
好奇心を抑えられずに見学することにした。
めったに見ることはできないし。

と、黒いデカイベンツから、
うちの組長、よその組長、俺んとこの代貸しみたいな風情の方々が降りてきて、
4〜5人の強面に囲まれながら、
車を止めた反対側の建物の中に悠々と歩いて消えていった。

その間、信号が3〜5回変わった。
みな、怖くてクラクションも鳴らさずに黙ってみている。

少しして、黒いベンツがUターン。
この間、本職強面の「兄貴」が誘導。
この後ワゴン車がUターンしようとして「兄貴」が頭を下げてるので、
「あっ、一般者に迷惑掛けてスミマセンって謝っているのか。意外に常識的なのか?」
と思ったらそうではなくて、大勢の強面を乗せていたらしいワゴン車だった。
運ちゃんが思い切り、グラサン、スキンヘッド、髭、くわえタバコの悪人面。
「大兄貴」「叔父貴」あたりか????

脇をピザ屋のバイクがすり抜けて来たんだけど、
運転のお兄さん、顔がメッチャ引きつってました。
そりゃ〜そうだよね。チンピラじゃなく、ブラックスーツの強面ばかり。
その中をすり抜けるのも勇気がいるさ。
しかし、ピザが冷めるから進まねばならぬ。

ここまで見て、お昼の時間がなくなるからその場から動いたんだけど、
渋谷で何かが起こるのだろうか?
物騒だ。

その日の帰り、久しぶりに以前よく通った道を帰り、
ヒップポップな洋服屋の黒人モーシス君がいるかな?と覗いてみると…。

モーシス君がスキンヘッド!
黒人で、筋肉ガーッが店の前で腕を組んでスキンヘッド。
何?最近物騒だから、睨み効かせるためなのか?
「どしたの!!」
と、思わず聞いてみた。
「暑くてね〜〜〜(^o^)」

ずっこけるお答えを、アリガトウ!!
なんだ、そんな理由かよ。
チンピラ達に対抗してぢゃないのかよ(^_^;)

「ホントに暑いんだよ。もう髪の中がかいいいの」とカリカリ頭を掻いてる。
「バリカンで?」
「そう。自分でやったの。安上がりでしょ?」
「安いとかじゃなくて、ファッション?」
「ううん。暑いから。髪の毛なくなったら、若返ったでしょう。
 赤ちゃんみたいでアハハ、ちょっと恥ずかしい(^‐^)」

いや、全然赤ちゃんみたいじゃないよ。
夜の暗い中で見かけると怖いよ。
面白いけど。

「太陽が直に当たって、暑いのよね〜。早く新しい髪の毛が欲しいヨ(^o^)」
夜の渋谷でヘロヘロと笑い合う、ヒップポップなカッコの黒人と、普通のカッコのオイラ。
はたから見るとアンバランスな組み合わせだろうなと思いつつ、
馬鹿話とお互いの家族の話を続けてヘロヘロ笑う。

モーシス君いわく、あまり渋谷危険情報は出回っていない様子。
偶然だったんじゃない?だって。
異国より日本に渡って、家族を守りながら商売をやっているので、
まぁ敏感にはなっているはずの彼がゆうから、そうなんだろう。

んじゃまたねと握手をして別れるのだが、毎回手のひらを指でくすぐるのが彼のお約束。
これって、彼の民族の礼儀作法なのかいな。
くすぐったいから、やめてねm(_ _)m






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