海洋空間ケニア旅行記



第4日
2003年1月7日(火)

夜中、ほぼ1時間おきに目を覚ます。
ものすごい頭痛と鼻水が襲いかかってきている。
これはひょっとするとかなりやばいか。
若干の不安を抱えつつも、行動不能なほどではないので、
6:00出発の朝のゲーム・サファリに予定通り参加する。


朝陽を浴びるサファリ・カー
サヴァンナの真ん中で朝陽を浴びる3台のサファリ・カー

本日のゲーム・サファリはお弁当持参のロング・ヴァージョン
普段は6:00に出発して、8:30頃にはロッジへ戻って朝食、という流れなのだが、
今回はゲーム・サファリの途中で朝食をとり、
ランチ前に帰ってくるという半日コース
メンバーはドライヴァーを含め、昨日と同じ5人である。
かなりよいぞ、この半日ドライヴは。

最初のハイライトは、チーターのファミリーであった。
1頭、獲物を探しながらゆっくりと、
そして時々立ち止まっては首を持ち上げて辺りを優雅に見渡す、
気品に満ち満ちて歩いている母チーターと、
じゃれあいながらそれを追いまた追い抜き、
転がるように移動している2頭の仔チーター
その一見対照的な、
落ち着いた美しさと無邪気さという2つの要素が
ファミリーというユニットとして見事に融合、
隙のない完成度と一体感を産み出しており、
それを眺める我々はまさに言葉を忘れて魅入っていた。
願わくばハンティングまで見れないかな、とチラリ思ったが、
それは叶わぬ願いというもの。
聞いた話の記憶が確かならば、
チーターはこのマサイ・マラには現在3ファミリーしか生息していないらしい。
それぞれ子供が2頭、3頭、4頭の3家族だということで、
そのうちの1つをこの時は目撃できた、ということだね。

母チーターとじゃれあう2頭の仔チーター
無邪気にじゃれ合う2頭の仔チーターをさりげなく守っている母チーター


全員心ゆくまで彼らを眺め上げた後、
チーターを見た地点から右手に見える丘の方に登り、
5人でピクニック気分で朝食をとる。
サンドイッチクロワッサンなどのパン類と、
フルーツゆで卵ジュースなど。
コーヒー紅茶、そしてホットミルクまで持参されてあった。
本当に楽しい。

ジェイムズ、イヴォンヌ、ガブリエラと
ドライヴァーのジェイムズ、ツアラーのイヴォンヌ、ガブリエラとともに

スイス人女性のイヴォンヌガブリエラは互いに独身で、
自営業をしているらしい。
俺はレズ友達じゃないかと踏んでるんだけどなあ。
ジェイムズフラミンゴで有名なナクル出身ということだ。
皆で記念撮影などしたり。
しかし、こんなところでまさかお弁当を広げて食べることができようとは、
本当に最高の気分だ。
体調不良もこの頃には嘘のように吹き飛んでいた。
少なくとも忘れてはいたな。

朝食を終えて再び出発、移動中に先ほどのチーター・ファミリーを再び目撃
未だ獲物は見つかっていないようだ。
平原のマウンドに登り、
独りそこで背筋を伸ばして地平線を眺める母チーターの何と美しく堂々たることよ。

獲物を探す気高き母チーター
平原のマウンドの上で、獲物を探し首をめぐらせる母チーター

その美しい1頭のメスは、ひとたびその視界にハンティングの対象を目にするや否や、
生存本能に全身全霊を支配された恐ろしい狩人へと、その姿を変えるのだろう。
ふとそんなシミュレーションを頭の中でしてみたり。
今はただ遊んでいるだけの子供たち、ちゃんとお母さんを見て勉強するんだよ。

後半はマラ川 Mara River へ行った。
ターゲットはカバ、そしてワニだったんだが、
昨日の雨で増水しており、少し群れているポイントが普段とずれているようで、
カバは遠くに数頭が見えるだけだった。
対岸の水際を上がったところに、1頭の小ぶりなワニが休んでいるのが見えた。
やや遠かったし顔も見えなかったけど、まあ見ることができただけよしとしようか。

川近くの開けた湿地帯は草食動物や小動物たちのパラダイスとなっているようで、
バッファローエランド Eland ガゼルインパラトピ Topi などの多くのアンテロープ
それからイボイノシシマングースたちをたくさん見ることができた。

最大のアンテロープ エランド
アンテロープの中で最大の種、エランド


ロッジに戻ったのはもうお昼、ほどなくしてランチタイムだ。
このときのランチは、アフリカン・フードのブッフェだった。
フルーツもたっぷり頂く。
ヤギの肉は臭かった。
ランチを終えた後、部屋で少しの間2人とも昼寝。

今日は午後のゲーム・サファリはお休み、15:30からネイチャー・ウォークに参加する。
講師は日本人スタッフの加藤直邦さん、30歳。
他の参加者は、4名の日本人女性グループと、新婚旅行らしき日本人カップル
この6人は別グループながらも昨日からほぼ同じ行動をとっているようで、
なぜわざわざここに来てまでつるむのかな?といささか謎であったが、
ひょっとしたらツアーのコースになっていたのかも知れないな。

このネイチャー・ウォークとは、
ホテルの敷地内を散策し、主に鳥類や植物を中心としたガイドをしてもらうという、
1時間半〜2時間ほどのアトラクションである。
今回はそれに加えて、ホテルのスタッフたちの寝食所や農園なども見せていただいた。

ネイチャー・ウォーク
ネイチャー・ウォークの1コマ


ここ、ムパタ・サファリ・クラブで働くようになって4年になるという
加藤さんは当然のことながら知識の宝庫であり、
アフリカの大自然を愛している様がよく伝わってきた。
ムパタをあとにする時に教えてもらった彼のサイト、
「サファリ通信」も帰国してから読んでみたが、
言語、文化、食生活、人種、気候、社会環境などなど、
様々な壁を乗り越えて自らの天職に没頭するその姿に、
尊敬と応援、そして若干の羨望の気持ちを感じずにはいられなかった。

楽しい散策を終えて、
皆でホテル屋外のバー・スペース“バブーン・バー”で一休み。
4人組は朝、チーターの食事シーンを見ることができたそうで、
少し羨ましかったりするのであった。
いいなあ。
夕方、またポツリポツリと降り出したので部屋に退散する。

今日のディナーはいつもとテーブルの位置が違い、
中央寄りに設置されたステージの前で、
ステージの方を向いて座るようにセッティングされている。
何がしかのショーがあるようだ
ここで周りを見て気づいたのだが、昨日に比べて日本人客が増えている
昨日我々が来た時は白人のゲストが多く、
日系企業とはいってもアフリカを訪れる観光客、
中心は白人なのかな、思っていたが、
やはりこのホテルは日本人客が多いようだ。

食事を進めつつ、なかなか始まらんなあ、と思い待っていると、
メインディッシュを食べている頃に遠くから雄たけびのような、
おそらくリハーサルと思われる音が聞こえ始め、
ほどなくしてマサイ・ダンサーズが登場してきた。
始めは10人ほどの男性マサイたちによる、歌のような叫びを伴うダンス
恐らく普段はウェイターやガイドなどをしている人たちなのかそうでないのか、
心なしかダンサーズには若干の照れが見え、
ダンスもとてもよく洗練されて一糸乱れぬ、というものではなかったが、
それなりに楽しめた。

特等席でマサイ・ダンスを楽しむ
ステージ真ん前の特等席でマサイ・ショーを楽しむ

その次は、バンジョーのような形状、
それでいてヴァイオリンのように弓で以って演奏する
弦楽器を持ったおっさんマサイのソロ歌謡ショー
こちらも、その楽器の耳慣れぬ興味深い音色と声色も手伝ってか、
十分に楽しんだのであった。
しかし現代の恵まれたマサイたちの間では
腕時計をすることはある種のステータスになっているのだろうかね。
こういった伝統的なはずのパフォーマンスの最中にも、
まるでそれを誇るかのように数々の民芸アクセサリーとともに
腕時計をその手に光らせていたマサイ多数。

ユカリンはショーの後半辺りから激しい腹痛を訴え、
デザートをパスしておよそ15分もの長きにわたってトイレに籠もっていた。
大丈夫か?

さすがに疲れていたので、22時過ぎ頃、シャワーにも入らずバタンキュー。



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