海洋空間佳本


日本のマラソンはなぜダメになったのか 日本のマラソンはなぜダメになったのか」★★★★☆
折山淑美
文藝春秋

2017.1.28 記
著者がレース展開を記述、説明しているくだりは少し冗長で読み辛い部分があるが、日本記録をかつて更新した経験を持つ7人がインタヴュー取材で語っている言葉のすべてはまさしく金言で、非常に読み応えがあった。
7人皆が口を揃えて、今の選手たちのメンタリティーや練習のやり方について苦言を呈していることもとても興味深い。
どの業界、分野においても、「昔は良かった…」というロートルの戯言に過ぎない、と片付けてしまうのは簡単だが、やはり客観的に考えても、現代の若者たちの方がいろいろな意味において脆弱であるというのは否定できない事実なのだろうと思う。
練習や食事にまつわる科学的なノウハウが進歩し、シューズの性能も上がっているはずなのに、なぜ男子マラソンの日本記録は15年間も更新されないのか、30〜40年も前の宗茂・猛兄弟や瀬古利彦氏、中山竹通氏らの記録にすら及ばない選手がほとんどなのはどうしてなのか、確かにタイトルを裏切らない明白な答えはこの本の中にあった。
トップクラスの素質を持った上で、川内優輝選手のようなハングリー精神と貪欲さを備えるマラソンランナーが今いれば…、と外野にいる者としては勝手に夢想してしまう。
去年の東京マラソンで村山謙太選手が勝負に出た背景が垣間見えたのは面白かったし、そこに一筋の希望の光が見える気もした。

また、もちろん次元はまるで異なるけれど、7人のレジェンドたちが語る練習に関するサジェスチョンは、一市民ランナーの端くれたる自分にとっても参考になる部分があった。





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