海洋空間佳本


まほろばの疾風 まほろばの疾風」★★★★☆
熊谷達也
集英社

2010.6.11 記
はっきり言って文章は粗く、特に会話のやりとりなんかは拙いと感じた。
そのせいか、序盤はイマイチ感情移入しきることができなかったが、ある程度物語が進行してからのパワーたるや、さすがにはにゃ氏が勧めるだけのことはある。
皆川博子氏の作品を想起させるような、遠大なクロニクルはとても読み応えがあった。
それでいて、狩猟民族が農業に出遭った時の戸惑いなど、ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」が好きな向きならおおと感嘆してしまうような要素も散りばめられていたりするから、懐も深い。
ラストシーンを始め、グッと泣かせにかかる山場まであって、これほど連続テレビドラマにハマりそうな小説も珍しいのでは!





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