海洋空間佳本


気象遭難 気象遭難」★★★★☆
羽根田治
山と渓谷社

2022.12.17 記
羽根田治氏の"遭難"シリーズとして、私が読む4冊目となるが、実はこれが第1作だったということで、だいぶ順番前後してしまった。

街中では何でもない天候の時でも、山では雨がポツポツきていたり風が強かったり、あるいは空模様が目まぐるしく変化したり…という経験は近所の低山であってもよくあることなので、日本アルプス等の山域では1つの判断ミスが命取りになり得る、というの容易に理解できる。
この書中でもしばしば"観天望気"という言葉が出てくるが、日帰りならともかく、2日以上に渡りアタックや縦走をするスケジュールの山行に赴くのであれば、その能力は必要になってくるのだろう。
と言いながら、生活のベースが山にある場合は別として、普段は街に暮らす趣味登山人が限られた機会にそのような知識を身に付けるのは至難であるようにも思うが…。

読了して、中でも恐ろしいのは雷だと、個人的には感じた。
いざ自分がその現場に居合わせたとして、適切に対処できる自信はもちろんまったくないし、こちらも著者が言及しているが、落雷に関してはケーススタディが少ないため、たとえプロのガイドであっても咄嗟に的確な判断ができるとは限らない、という実態があることが分かった。
また、落雷には特有の後遺症があって、一命を取り留め回復したとしても、長年それに悩まされる人が多い、ということも初めて知った。

山岳会に所属し、高い技術と豊富な経験を持つアルピニストたちが、進退窮まってもギリギリまで救助要請を出すかどうか迷い、さらには無事救助された後、懸念された通り山仲間たちが責め立てる…という現象が本当にあるんだなと驚くと同時に、あまりに非合理的と言える"山ヤ"のくだらないプライドに辟易した。





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