海洋空間佳本


インドクリスタル インドクリスタル」★★★★★
篠田節子
幻冬舎

2015.4.17 記
題材といい、舞台といい、キャラクターといい、まさに篠田節子氏の本領が存分に発揮された作品。
謎のヴェールに包まれた少女・ロサが登場してくるくだりでは、いかにも篠田氏らしいな、と思うのと同時に、ひょっとしたら硬質なはずの物語に水を差す結果になりはしないかな…と若干不安を抱いたものの、まったくの杞憂に終わりホッとするとともに、最後のページまで堪能させていただいた。
水晶ビジネスやインド国内の通俗等の描写についても、緻密な取材に基づくものであろうことが窺い知れる。
西アジアの空気が醸し出す何某かの影響か、「弥勒」や「ゴサインタン」などを少し髣髴ともさせるが、今作は充分に救いが用意され、真っ暗なトンネルの先に一筋の光明が見える結びになっているのが印象的だ。





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