海洋空間佳本


ボクたちはみんな大人になれなかった ボクたちはみんな大人になれなかった」★★★★★
燃え殻
新潮社

2017.9.1 記
おそらく作中の主人公(そして作者)と同い年である私にとって、一切の遠慮なしに脳と心臓のど真ん中に突き刺さってきて、さらには記憶のヴェールで隠している古傷を無理矢理剥き出しにしてくる、そんな小説だった。
短編集ではないのでもちろん描かれている物語は1つのものなのだが、それでいて不思議な普遍性を持っており、登場人物と同じ時代を生きた読者は悉く自らの半生と重ね合わせ、その胸は強烈な力で抉られることだろう。
団塊ジュニアと呼ばれる世代のすべての男性に読んでほしい。

インターネットから本当に価値のある創作物というものはそうそう生まれてくるはずがないと思っているが、普通に会社員をやっている人のこんな才能が表に現れるツールにもなり得るのだから、やっぱり捨て置けない。





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