海洋空間佳本


僕には鳥の言葉がわかる 僕には鳥の言葉がわかる」★★★★☆
鈴木俊貴
小学館

2025.12.31 記
白米"のみ"を食べて4週間過ごした日々を何でもないことのようにさらりと紹介しているくだりからだけでも、常人とは明らかに一線を画すぶっ飛んだ人物であるということは、痛いほど伝わってくる。
感覚や印象として私たちが既知であることを、科学的な事実であると証明することは存外至難であり、1の結果を得るためには10や100、あるいは1000の労力を要することもあろうが、そういった気が遠くなるような追求を苦労とも思わない、著者のような人たちこそが世の中にインパクトを与えて既成概念をぶち壊していくのだろう。
ルー大柴氏の使う"ルー語"にヒントを得て研究の行き詰まりを突破した等という、いわば"映える"エピソードもしっかりお持ちだし!
うちの庭木にもよく飛んでくる身近なシジュウカラが、明日からは私にとってもこれまでとはちょっと異なる類の存在に見えそうだ。
また、都会の街中にも実はシジュウカラの巣がたくさんあるということを知り、若干の驚きを感じるとともに、すっかり野生を失ってしまい、それらを何一つ見つけることができない自分の鈍さにがっかりするばかり。

本書の結び、"動物言語学"で触れられている、2022年の国際行動生態学会における著者の基調講演は、まさしく鳥肌ものの名スピーチであったことだろうと、まるで自分もその場にいたかのように確信を持って感じられた。
書中で披歴されているほんの一部分にこそ、鈴木俊貴という科学者の核心が見事に凝縮されているのではないだろうか。

「そして僕が感じたことは、こういった意見の数々は、やはり人間が最も高度であり、動物は単純であるという妄信に基づいているということだ。人間も動物の一つであり、人間の言語も動物の言語の一つにすぎないのだが、まだこれに気づいていない人が本当にたくさんいるのである。」





戻る

表紙