海洋空間佳本


その女アレックス その女アレックス」★★★★☆
ピエール・ルメートル
文藝春秋

2015.7.11 記
第一部、二部、三部と追うにつれて、あたかもカメレオンの体色かのように物語の帯びるトーンが微妙に変わっていく様が面白く、また少々不思議な読書体験でもある。
アレックス、カミーユを始め、ル・グエン、ルイ、アルマンといった主要登場人物たちの書き分けも見事で、充分に個性的かつ魅力的なキャラクターとして活動している。
椅子から転げ落ちるほどの衝撃は受けないまでも、ミステリー作品として非常にアトラクティヴなプロットで、また訳文も実にスムーズで読みやすい。
高水準のエンターテインメント小説といえる。
反目し合っていたカミーユとヴィダールが奇しくも一致を見た、"真実よりも正義"を優先したラストシーンについては賛否が分かれることだろう。





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