海洋空間壊死家族2



第39回

虐殺   2004.2.17



恐怖と
憎悪と
暴力の循環は
いつどこで終わるのだろう

〜ジェレミー・ブレッド〜



とうとうイラクに自衛隊が行っちゃいましたな。
別に私は「自衛隊は憲法違反だ!」とか、さらには「いつか来た道・・」などという感傷的左翼思想は持たないから、日本が軍隊を持とうがかまわないし、逆に核兵器も持っちゃえば・・というような、どちらかというと右寄りの思想体系であると思うのだけれど、ただ一つ譲れない線というものがあって、それはなにかというと、俺に迷惑かけんなよ!という話である。

まず一つに私が軍隊に入る、ということだけは絶対に避けられねばならない一線である。
自慢じゃないけど、私は熱いのや寒いのや、しんどいのや苦しいのはいっさい耐えられないような精神構造の、あらゆる意味でガマン弱い人間である。
さらにはそういう厳しくもたくましい丸大ソーセージのような状況をヨソサマに強いられるというのが大嫌いな人間である。
文字の柔らかな印象とは逆にそれらを強いる「均衡」状況とか「協調」関係というものをほぼ拒否して生きてきた、上意下達関係無視に近い人間なのである。
そういう人間が上からの命令に絶対服従、ミギ向けーミギ!駆けアシー!という軍隊式意思一方通行の暮らしでは、決して生きていけないという、無根拠かつ非営利的自信がある。
冗談じゃないよ。なんでテメエなんぞにそんな歩き方までいわれなあかんねや?という根本的非暴力不服従思想に我が精神は貫かれているのである。
そしてそれはサラリーマンになった今でも変わらぬ魂の叫びである。

さらに軍隊というのは非常時になると人殺しが許される組織である。
所以や憎悪すらもなく見知らぬ人間に殺されるというのも嫌だし、それ以上に、知らない人間を(知ってても嫌だけど)理由もなく殺してしまうというのは絶対イヤな気がする。
例えば自分の子供を殺されたとしたら、その殺した人間を必ずとらまえて(絶対司法なんかに渡さないだろな)誰もいないところに連れ込んで、皮をはいで鼻を削いで、苦しみ悶えさせながら骨が見えるまで死なないように切り刻んでイビリ殺す、というような行為をすすんでやるんだろうけれど、何の理由もなく、面識ないヒトの腹に機関銃打ち込めるか?というと自信はない。
その時はできても後で普通の生活は送れないだろなと思う。
子供の頃うちの地方では、ザリガニの背中をパキッと生きたまま開けるというのが、大人への玄関口の儀式としてあったのだけれど、それをやった時点でその人の人生は暗転して二度と取り返しの着かない坂道を転げ落ちていってしまうような感じが子供心にもしていたというのが、まさにそんな感じではないだろうか。
その「見知らぬ人を殺す」訓練をしているという時点で軍隊というのはなんだか知らないけどその常識そのものを疑ってしまう。
この日本という島にもそういう人殺しの訓練をしている組織があると思うだけで気味が悪いとも言える。
いまのところその領域は志願者が好きにやっているからそれでいいけれど、これが「日本男児の当然の務めです、国のためにがんばってください!」と成年男児全員軍隊入り、という話になるとたまらないわけである。
そこまでいかなくても、ある朝目覚めると「はい、役所の窓口に保険証と印鑑を持って9時までにきてくださいねー」という事態もありえない話ではない。
PTAの役員や、町内の自治会の役員なんてのに強制的に選ばれちゃうような仕組みが存在するこの日本において、それは結構近い将来ありうる道なのではないだろうか。
回覧板で密かに近所への根回しが終わっていて、「それでは大王さん、よろしくお願いします」なんてことにもなりかねない。
そして「ここはもう大王さんしかいませんよ!」なんて言われてまんざらでもなくひょろひょろと出ていってババーンと人殺ししてしまう自分がいるような気がして恐いのである。
そういう意味で、自衛隊の身になってみると逆にイヤだろなと思う。
自衛隊って軍隊じゃないからたぶん人殺しを許されていないのではないか。
おだてられて出ていってふと気づくとみんな酒飲んで知らん顔、というような恐怖の囮鮎のような雰囲気がなくもない。
戦争の後、英雄ヅラして帰ってきたらナゼカ殺人罪で訴えられちゃうという可能性もなくはないのである。
そういう疑いがちらちらしながら、しかし任務は命がけ、という状態というのもたまらんな。

もっと実際的には逆恨みでテロにあっちゃうのがイヤだ。
出来損ないのとっちゃん大統領とのつきあいでイラクに出かけたせいで、日本のどこかでテロが起きてそこで知り合いが死ぬ、というのは最低のパターンである。
戦争というのは多大なエネルギーと資源のロスである。
宗教的恍惚からくる平和至上主義は逆に人殺しの論理に近いものがあって信じられないが、功利的な意味での戦争反対は納得性が高い。
身近な人が死んだり被害にあったりする心理的乃至経済的損害は個人の利害を超えて大きいものがある。
ちなみに実際私が日本に恨みを抱くテロリストならどこを狙うのかな・・と考えると、大使館関係を除けば、東京なら都庁、六本木ヒルズ、大阪なら梅田はアクティ大阪あたりが危ういな。
あと地下鉄はなるべく乗らないほうが身のためのような気がする。

最終的な問題として責任者はイラク行って指揮とれよと思う。
口を開けば任務を果たして・・とか、立派に務めを・・とか言ってるけど、実際その内容ってあんたらわかってないですらろう?というより、ホントその目的が何なのかよく分からない。
なんだか関連記事をざぁーっと読み飛ばしてしまうほど曖昧で分かりにくい。
最近「法」の取締が厳しくなって、さらには「冗談」の通じない世の中になってきているから、昔なら、スリムどかんでどかんと痩せた!とか、きのこでガンが直った!とか、クロレラでリウマチや肝硬変が治った!なんて言い種が大手を振って通りを歩いていたのが、ウンコどっさり!とか、カラダすっきり!とか、歯にものの挟まったような中途半端な広告文句になってきて、この間、ある甜茶の広告を見ていたら、「春の悩み」とか、「この季節をすっきりと過ごせないあなたに・・」などという、つまりなんなんだ!というまったくもってはっきりしない、「花粉症」という単語はついに徹頭徹尾ヒトコトもでない花粉症症状軽減用飲料広告に成り下がっていて、日本はだいぶヨクナクなってきているな!というのが実感である。
それと同じ症例がこの「任務を果たす」云々であって、「ほら、あれですわ、わかるでしょ、あれあれ・・」という、直截的には言わず、何をしたらいいのか成功なのかさっぱり分からなく有耶無耶にして、結果的に誰も責任を負っていないというところが若年性怒髪症の私には許し難いアホづらである。
「任務」を果たして帰ってきたら、そんな任務なんてひとことも言ってましぇーんという非人道がまかり通る世の中になってきているのである。
だいたい、その任務をなかば無理矢理詳らかにしても、「治安の維持」って治安がいいとこ選んで行ってるから意味ないし、「土木工事」や「インフラの整備」って、失業率アホほど高いんやから地元のヒト使ったりいなあと思うし、結局何かというと、自衛隊を外で使うという実績がほしいだけで、つまり軍隊を死地に入れて実地状況訓練で人殺しさせたいというのがメインテーマではないか。
特にあの石破防衛庁長官て、グッチ祐三に似せた腹話術人形を作ろうとして失敗したような面構えと、なんといってもあの目つき(白目と黒目の境目が異常な感じがする)がたまらなく嫌悪感を引き起こす。
実際に見た人の話でも「あれは人間の目じゃない」そうである。
専門家の意見としても、彼は完全に「宗教の目」をしているのである。
社会通念上一般の人が見えている世界とは別の、妖精や亡霊の飛ぶ世界が見えている目である。
あの顔で何を言われてもまず疑ってかかってしまう。
そのうえ、どう考えても精神が卑しくて、一秒たりとも他人や社会のことなど考えられなそうな、ゲビタような、政治家風の顔をしているのである。
そんな人間がしっかりやってこい!とか、あんじぇんです!なんて言ってもまったく真実味がない。
そうでなくても、自分に被害が及ばない、安全安心のルウアマイルドな敷地にいてなんやかんやというヒトって私許せないのだけれど、この問題に関しては全世界史的に見ても慣例恒例の汚い思想が明確で、ホント自衛隊の皆さんが気の毒で仕方がないのである。
小泉首相は忙しかったら孝太郎をイラクに派遣するべきなのである。



ブッシュもいった
ブレアもアスナールもいった
カンザキもいった
あたしもいつか電撃訪問(3/3)






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