海洋空間B級生活のためのB級名言



第6回 俺んちの獏はまるまる太ってやがる。餌がいいからな!   2003.10.25



《今回の名言》

俺はただ覚めない夢を見ているだけさ
              〜『カウボーイビバップ 5th session』



…『目を覚ましなさい。』
誰だぁ、俺ぁさっき寝たとこだぞ。
それに今から夢の中でニコール・キッドマンと「アイズ・ワイド・シャットごっこ」をするんだ。
…『私は夢を司る神、サキュバス。』
サキュバスって夢魔やんけ!
帰れ!ゲラルヒアじゃ!
…『ムホホ、日ごろ頑張ってお仕事しているお主に素敵な夢のご褒美を、と思ったのだが。』
え、ほんとに?いいの?
…『ロンモチ。』
じゃあね、人間の三大欲求をフルコースで満たしてほしいな。
…『え、そんな激安バーゲンコースなんかでよいのか?』
まじっすか!?
じゃあね、ライカM3とニコンF5欲しいな。
それとi BookのG4も。
それと芦屋の一等地に家建てて、それから…。
『い、言いたいコトはそれだけか!』
え、なに、あ、それと今すぐ寿司食いたい、寿司、シースーだよ!
ていうか、めんどくせーからこの際キャッシュでいいや。
現ナマね。
…『こ、この即物的激安コピーライターがぁ!これでも喰らえ!』
ぐはぁ、ここどこだ!
…『ムホホ、ここは地獄の南青山コピー研究小屋でゴワス。
  お前は一生ここでペプシをがぶ飲みしたり、牛丼肉抜きを食ったりしながら
  潰れかけのスーパーのチラシ広告を書いて生活するんじゃい。』
い、いやだぁ!
牛丼から肉抜いたら汁丼ツユダクじゃないか!
…『ムホホ、ギャラは全て大豆で払ってもらうんじゃい!
  ルパンフィギアは全てボッシュート。
  そして替わりにスーパー仁くん人形を差し上げるでゴワス』
いやだぁ〜!この人形、笑顔が嘘くせぇ!
てめぇ、この!喰らえ、龍虎乱舞ぅ〜!!
…『ぎにゃー!』
・・・・・・・・

長い前フリでしたが、キッズたちは夢見はいいほうかな?
あんまり夢を見ない人もいるだろうし、毎晩夢を見る人もいる。
みんなの夢ってカラーなの?
モノクロの人もいるよね?
俺はほぼ毎晩夢を見ます。
しかも総天然色カラー。
それはもう子供のころからずっと。
むしろ夢を見ない日があると
「どうしちゃったんだろ。疲れてんのかな?」って心配になったりしてた。
夢日記でも付けようかと思ったけど、
現実の日記付けれないやつがそんなもん出来るわけねぇってことでこの企画はあっさりボツ。
他の人の意見が欲しくて中学校からのツレに聞いてみたら
「え、夢そんなに見るの?俺は年に数回ぐらいしか見ない。」とのこと。
この差って何?

同僚のO君は子供のころから時々同じ夢を見るという。
で、俺に夢診断をして欲しいという。
「その内容って言うのが、なんか砂漠みたいなところやねん。
 だだっ広くてどこまでも続く砂漠で、そこに電信柱が一列になってずーっと続いてる。
 で、時々そこにテレビの砂嵐みたいなのがブワァーって。」
…ふぅむ、なるほど。
しばらく考えて俺は言ってあげました。
「まぁ、色々と複雑な要素を含んでいるんだけど、
 フロイト的な見解から診断すると、間違いなくこれは欲求不満だね。特に性欲。」
彼の口からお礼が聞けるものとばかり思っていましたが、
聞けたのは罵詈雑言だけでした。
何がいけなかったのか僕わかんない。

というわけで、今回のお題は「カウボーイビバップ」!
♪〜チャラッチャラッチャラッチャラッチャ〜ラ〜♪(←オープニングテーマ)
かぁっこいい〜!
俺の中では90年代最高のアニメ!
音楽よし!絵ヅラよし!声優よし!シナリオ渋すぎ!演出最高!
オープニングアニメーションでかなりの満腹感!
すっげースタイリッシュ!
ルパン好きな人は絶対はまる!!

時は西暦2071年 。
人間はゲートと呼ばれる位相差空間を利用し、短期間惑星間航行を可能とした。
それにより人類の活動圏は土星周辺にまで広がった。
しかしその一方、地球は、月表面でのゲート開発事故によって、荒廃した世界と化していた。
その結果、人類は太陽系に広がり混沌とした世界を構築することになったが、
犯罪も増加していった。
そこで苦肉の策として生まれたのが、犯罪者に賞金を掛ける「バウンティハンター制度」。
その犯罪者を捕まえる賞金稼ぎたちの中に彼らはいた。
ジークンドウの使い手、スパイク・スピーゲル。
元警官のジェット・ブラック。
ギャンブル馬鹿の跳ねっ返り美女、フェイ・バレンタイン。
天才ハッカーのラディカル・エドワード。
データ犬のアイン。
この4人と1匹が宇宙を駆け回るハードボイルドアニメ!

最初は地上波で放映してたんだけど、途中で終わって、残りをWOWOWでやってたんだよね。
何故だか分からないんだけど、何かの圧力が加わったのかなぁ。
まぁ確かに子供向けではないわな。
仮に自分に子供がいたら見せません。
ある意味18禁です。
このカッコよさを子供に理解しろっていっても無理だし、
話によってはちょっと血泡吹き過ぎかも(笑)。
ビバップ号の彼らの生き方はハードボイルドである。
何をもってハードボイルドかというと、それは「信念」と「誇り」ではないだろうか。
これはそのまんま制作スタッフに通じることだと思うよ。
作品からそういう気持ちが出てる。

で、今回の名言『俺はただ覚めない夢を見ているだけさ』
かっこいぃ〜。
このシーンはスパイクが昔所属していた組織の親友ビシャスと教会で敵対するところ。
スパイクの声、山寺宏一。
ビシャスの声、若本規夫。
ビシャスの台詞『天国を追い出された天使は、悪魔になるしかない。そうだろう?スパイク。』
カッコよくないはずが無いだろ!
スパイクの銃、ジェリコ941改、ベレッタ92FS、手榴弾。
ビシャス、日本刀のみ。
渋すぎるだろ!
18才以上の男子、いや男性諸君にお勧め!!
俺はこのシーンも好きなんだけど、スパイクが昔のなじみアニーに会いに行く場面がいい。
中国タバコのカートンケースにびっしり詰まった実弾とベレッタをカウンターに置いて、
交わす二人の言葉。
…いい。ぶっきらぼうだけど優しい空気が流れます。

基本的にストーリーは一話完結でビバップ号の生活や彼らの活躍が描かれているが、
この5th sessionではスパイクの過去が少し見えてくる。
ビシャスとの因縁、元彼女のジュリアも回想シーンに出てきます。
これから、スパイクの過去にまつわるストーリーと
ビバップ号の日常や賞金稼ぎのストーリーが紡がれていく。

スパイクには現実感というものが見事に欠落している。
まるで夢の中で生きているかのように。
そう言ったところが無茶な行動であったり、生への執着が希薄な生き方に表れている。
実際彼は1st sessionでも「悪い夢さ」という発言をしている。
シリーズの中に「夢」という言葉が所々に見え隠れしているので、意識しながら見ると面白い。
フェイは極めて現実的なんだけど、自分の過去が記憶にない。
ジェットにもつらい過去がある。
みんなそれぞれの生き方をしているんだけど、そこに何らかの哲学や美学がある。
その中でもやはりスパイクだけは異質な存在である。
死生観の違いかな?

人が生きていく普段の生活でも、ごくたまにではあるが
「うっそ!夢みたい!まじ?」なんてことはない?
欲しかったものが偶然たまたま手に入ったり、めったに無いチャンスがめぐってきたり、
好きなあの子に突然コクられたり。
実は俺自身、現実感が最近ない。
子供のころから憧れていた文章を生業とする人生。
もしかしたらここまで来れなかったかもしれない。
夢見て憧れて妄想劇場をパンパンに膨らませて
「まぁ、所詮現実なんてこんなもんさ。」って言いながら
だらだら過ごしていた可能性の方が大きかったんじゃないか?
ひょっとしたらすんげー長い夢を見てるんじゃないか?

しかし、夢ならいずれ覚めるときが来る。
人偏に夢と書いて「儚い」。
やがて夢は現実へとシフトしていき、当たり前の日常になる。
そう、夢と現実の狭間で俺は揺れ動く。
俺は夢の中でも夢を見る。
二重夢というやつだが、目が覚めてもまだ夢の中に取り残されている。
実際に目が覚めたとき、俺は本当に夢から解き放たれたのか疑わしい。
何だか映画『マトリックス』みたいな話だが、二重夢を見る人はわかるでしょ?
たまにはどうしようもなく嫌な夢を見ることもある。
夢だとわかっていてもその日一日の気分は最悪。
でもその一方で夢でよかったと安堵している自分がいる。
原稿の締め切りが近づくにつれて「これって夢なんじゃないか?」と疑い始める。
企画がボツった時は「悪い夢さ。」そう言うことにしている。
でもやっぱりこいつらみたいな生き方、憧れるよね。
「信念」と「誇り」を持った生き方。
ハードボイルドだね。




カウボーイビバップ 5th session 『カウボーイビバップ 5th session』
 バンダイビジュアル(1999年4月発売)

監督:渡辺信一郎
原案:矢立肇
出演:山寺宏一
    石塚運昇
    林原めぐみ ほか
音楽:菅野よう子





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