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2020年4月 8日(水)

端境期

確かに理屈の上では、全人類が6週間だか完全隔離状態を続ければウィルスを殲滅できるのかもしれない、戦いに負けてしまいそうな一定数の人たちを見殺しにしながらの話になるが。
もちろんそれを実践することは不可能。
それでも、シヴィアさが日々増していく現状、日本国民が節度と自制を以てひと月凌げば、色々なデータは好転して求められる制限のハードルも低くはなっていくだろう。
直近ではなくとも、早晩ワクチンもしくは特効薬も完成するはず。

しかしながら現実的には、「COVID-19が存在する世界で生きていく」ということを受け入れていかざるを得ないのではないだろうか。
例えば感染経路が追えない患者の割合が加速的に上昇している様などを見ていると、今後、私たちの生活のスタイルが恒久的にある程度の変容を強いられる、という可能性は大いにあると個人的には思うし、例えいくつかの国や地域で感染拡大が収束しても、衛生管理や医療体制が整っていないエリアから、変異して既存のワクチンや薬がハマらないコロナウィルスが再び拡散し始める...というシナリオもあり得ないとは断言できない。
過去、人類は幾度かのパンデミックと呼び得る事態を克服してきた、という歴史上の事実はあるが、往時とは"世界の広さ"がまったく違ったりもする。

10日ほど前になるか、ある人がテレビ番組で「時代は戻らない。元には戻らないと思うんです。企業はテレワークを推進するだろうし、いろいろなことが変わる。そこに適応できないと、ずっと辛いから。やっぱり変化することを楽しめないとダメだと思います」と発言したという記事を目にした。
私はこれを読んだ時、その人のことが元々あまり好きではなかったということもあって、「死者も出ている中でこの状況を楽しむとはまたデリカシーに欠ける物言いだなあ」などと感じたが、今は彼の言わんとすることが分かる。
「早く元の生活に戻りますように」と一心に念じ続けながら、文字通り終わりが見えない苦行を耐え忍んで日々過ごしていくというのはあまりに辛い。
何よりも私たちの生命を守るために色々な制約が生じているというのに、このような精神状態が続くと心の健康が損なわれてしまう。
言うまでもなく体と心の健康は密接に結びついており、ストレスによってその一方を壊してしまっては元も子もない。
既にメンタルの耐性が強くない人の中には、"コロナ疲れ"が蓄積して鬱状態になっている向きもあると聞くし、DVなんかが増えているというのも関連しているだろう。
期待値が高いとそれが外れた時にやってくるガックリ感も大きくなるから、「もう私たちの生活は"コロナ以前"には戻らない、これからは今までと違うライフスタイルに適応していく必要がある」と腹を括り、「もし元通りの生活に戻れたらラッキー」ぐらいの気構えでいた方が、心身の健康を保つためにはベターであるような気がする。

あまりにドラスティックな状況の変化の中、活計の基盤を失って追い詰められている人たちがいる。
彼らを拱手傍観して見捨ててしまうことは決してあってはならない。
その一方で、この逆境を機に生み出されるイノヴェーションの芽は既に育ちつつあり、新しい枠組みの経済活動に気付き始めた人たちがいる。
何某か、こんな状況だからこそ見えてきたものがある、と感じている人も少なくないだろう。
交通事故に遭わないように注意して道を歩く、泥棒に入られないようにセキュリティを固めて家を空ける、などといった行動と同じ基準軸に乗る形で、ウィルス感染を広げないように〇〇する、という新しい様式が今まさに生まれつつあるのかもしれない。

自分の中を貫く芯と地に立つ足腰さえしっかり保っておけば、どんな世界であっても楽しみは見出せる。

サクラとツツジが見頃の広田神社青空営業を始めたアルテシンポジオに行ってきた


♪ Little Troublemaker - Michael Monroe


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