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2020年2月19日(水)

東京マラソンを巡る騒動について

東京マラソンの一般参加中止に関して、一部の識者や政治家などから「参加料を返金すべき」との言が上がっている。
それに同調して、「これだけ規模を縮小するなら経費もだいぶ抑えられるはず」という論もしばしば目にするが、実際はそうではなく、運営費の大部分は広告宣伝やパンフレットなどの印刷物、資機材の準備、一般ランナー38000人分の完走メダルや参加賞のTシャツ、数万人のヴォランティアスタッフ用のキャップやジャンパーなど、既に発生している事前の準備に充てられており、当日に掛かる経費は割合としては微々たるものだ。
EXPO用に抑えていた会場のキャンセルフィーがどれぐらいかは分からないが、ブースの出展料も入ってこないだろうから、良くてトントンだろう。
今回のように規模を大幅に縮小して沿道警備の人数を減らせたとしても、彼らはそもそもほとんどがヴォランティアなので人件費は発生していない。
明らかにコストとして削れるのは、用意する給水や給食、簡易トイレが少なくて済む、ぐらいだろうか。
一部の人たちが指摘するように、返金しないことで運営側が焼け太り、なんてことはまず考えられない。
この辺りはやっぱり大会に参加した経験がないと想像が及びにくいのかな。
もちろんこういった事情と、今回のような理由で運営判断により一部中止となった場合に返金すべきか否か、という議論は別の問題なので、そこは突き詰めたら良いと思うが、仮に返金すべしとなった際、あるいは来年の優先出走権のみならず参加料も免除すべし、となった際、財団に内部留保がどれだけあるのか知らないが、いずれにせよ公金を投入せざるを得なくなる、ということまで併せて考えるべきと思う。
その時に都議会や都民の理解を得られるのか、また誰かが「税金を使うのはおかしい」と言い出すことはないのか。
ただでさえ国内の多くのマラソン大会が赤字基調であり、助成金なしでは成り立たないのが現実であるのに。
今回の議論発生についても、前提として巷間に「マラソン大会の主催者は儲かっている」という誤解があるのが一つの理由かもしれない。
確かに地方にとっては、大会の開催が町おこしや地域活性に一役買うことはあるが、殊、運営に関しては、参加料収入だけで賄うのは難しく、ある程度自治体頼み、ヴォランティア頼みにならざるを得ないのが現状だ。
あと、ぜひ落ち着いたら今回東京マラソンから除外されてしまった当事者たるランナーにアンケートを取ってほしいが、記念受験的に応募したら当たってしまったような人は別として、「返金されないのはやむを得ない」と納得している人の方が数としては遥かに多いんじゃないか、と市民アスリートの末端の一人としては確信しているのだが...。


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