火水と休暇を頂き、母と妹と京都旅行に赴いた。
血縁家族3人という非常にレアな構成である。
子供の頃はこのユニットで色々なところに出掛けたり、何かをしたりすることがよくあったはずだ。
これまで掛けてきた数々の苦労のことを思えば、到底その堆積に及ぶことは叶わないが、せめて元気でいるうちに孝行の真似事ぐらいはしておかねば。
2017年11月21日(火)
11時前、名古屋駅から新幹線に乗ってやってきた母と妹と京都駅で合流。
車で松ヶ崎へ移動し、私が学生時代よりお世話になっているル・プティ・プランスでまずは昼食を。
店に入る前に少しだけ近くを歩き、大学生の時に住んでいた場所も確認しといた。
シェフも奥さんも、もちろん実年齢は重ねているわけだが(そして私も)、本質的なところはまったく変わらず、今回も楽しく元気にもてなしてくれた。
年に1~2度ぐらいしか顔を出せていないので心苦しいが、それなのに今までと同じように、いつもと同じように話をし、料理を頂けるのがとても嬉しい。
なんと今年でオープン37年。
50周年まで期待してます!
食後は修学院まで移動し、パーク&ライドでそこから叡山電車に乗って八瀬の瑠璃光院へ行く。
平日といえど紅葉最盛期の今時分は午後からのこのこ行くと大変な目に遭う、と聞いていたので、実は京都駅で2人をピップアップする前の早朝に、単身ここまで整理券をもらいに来ていたのであった。
このために6時に起きて足を運んだ甲斐あり、無事スムーズに拝観することができた。
私も初めて訪れたが、庭の造形も書院から望む紅葉も実に美しく、素晴らしかった。
木々が映り込むことで知られる写経机は(床もだが)ピカピカに磨かれ、そしてちゃんと観賞のために人が入らないスペースが確保されていた。
駅近くの茶店でぜんざいをお供に少し休憩してから、叡電で修学院まで戻り、車に乗り換えて宿を目指す。
母親の冥途の土産代わりに、泊まりは炭屋旅館を張り込んだ。
途中、せっかく横を通ったのでちょっと下鴨神社にも立ち寄り、境内を一通り歩いた。
つくづく、こんな素晴らしいところに住んでいたのに大学生の私はまったくその価値が分かっておらず、それが悔やまれるのだが、まあ18、9の小僧が京都という街の真価を理解できないのも仕方ないか、と諦める気持ちもあったりする。
17時過ぎ、炭屋旅館に到着。
構えはほぼイメージしていた通りの風格ある純和風建築。
部屋の中はちょこちょこ改装を重ねているのだろう、高野槇の風呂を始めとする設備等は新しく快適だし、何より3人で二間続きとは贅沢なこと。
仲居さん等の対応も素朴だけれどなんだかホテルのコンシェルジュ然とした面もあって、さすがに痒いところに手が届く感じ。
夕食は魚中心の懐石。
さりげなくクエや雲子といった高級食材が奢られている。
出汁の旨みに、しっかり季節を感じさせる数々の工夫に加え、冷たいものは冷たいまま、温かいものは温かいうちにという基本がちゃんと守られており、満足のいく内容だった。
白味噌汁を頂くと、ああ京都に来たなあ、という感慨に浸る。
実は食後、せっかくなので紅葉のライトアップを観にいこうと思い、ちょっと急ぎめで料理を出していただき、といってもバッチリ2時間は掛かったが、タクシーを呼んでもらい20時半過ぎに宿を出て東山方面、圓徳院へとまずは向かう。
屋内の方丈、書院、渡り廊下、そして屋外の南庭、北庭とどれも非常に趣きがあり、秋の夜をしっかりと味わう。
人出も多く賑わっている。
そろそろ受付終了の21時半が近くなってきたので、塔頭の方に先に行ってしまったが、続いて高台寺へと急ぐ。
68歳の母も頑張って石段を登った。
とにかく臥龍池に映る赤と緑の葉が美しくて魂消たが、圧巻は方丈前庭にあった。
どちらかというと正統派のライトアップに終始していた圓徳院と違い、ここで行われていたのはド派手なプロジェクションマッピング。
鬼や閻魔大王や龍が出てくる、恐ろしげながらもどこかユーモラスなストーリーだったが、非常に精緻で見応えがあるので、続けて3度ほど鑑賞してしまった。
平日の夜なので、境内には勤め帰りのほろ酔いサラリーマン等の姿も。
折よく通り掛かった空車を拾うことができ、宿に戻って風呂で温まり、24時過ぎに就寝。
2017年11月22日(火)
7時過ぎに起き、8時から部屋で朝食。
晩飯もそうだったが、朝ももちろん旅館の食事なので腹パンパンになるヴォリュームはあるものの、かといって、こんなに喰いきれるか、と端から諦めるような非常識な量ではないので、頑張って完食できるのも良い。
発つ前にお茶菓子と抹茶を頂き、9時過ぎ、炭屋旅館を後にする。
この日は嵐山へ。
京都といえば、という問いかけに浮かぶ観光地として早々に名が上がるであろうベタなところだが、実は私はちゃんと観て回ったのは2~3度ほど。
京都に4年間住んだとはいえ、左京区民だったせいかどうも堀川通あたりより西はアウェイ、という感覚が根強い。
このあたりで学生時代に毎週バスケはしてたんだけどな。
それにしても異常なほど観光客が多い。
確かに紅葉の盛り、秋の行楽シーズンではあるが、平日でこの混雑とは。
明日の祝日や週末になったらどうなるのか...と恐ろしささえ覚える。
ざっと見たところ、外国人の割合が半分以上、6割ほどはいるかな?
私がよく知っている20数年前と比べて、そこが一番大きな違いでもある。
天龍寺界隈をぐるりと巡っている竹林の小径や亀山公園をぶらぶらと歩いた後、渡月橋方面に戻って川沿いの店に入り、昼食は湯豆腐定食を。
2階の座敷から落ち着いて山と川と舟を眺めることができる良いロケーションだった。
食後、これまたとんでもない行列ができているアラビカに大人しく並んでコーヒーを買い求めてから、橋を渡って中之島公園も少し散策。
しかし学生時代、夜中にここで鬼ごっこに励んでいたとは、どう考えても由来が分からない謎の思い出だ。
嵐山観光を終え、帰路に就く。
15時半過ぎ、京都駅で母と妹を降ろし、1泊2日の3人家族旅行は終了した。
♪ Light Speed - Dr. Dre