湖国の徳山鮓へ
奥琵琶湖は余呉湖畔にある発酵食品の名店、徳山鮓へ泊まりがけで赴いた。
2017年6月30日(金)
昼過ぎに家を出て、途中で昼食や小休止など取りつつ、3時間ほどで余呉湖に着いた。
天女の羽衣伝説が残る湖畔の木を眺めたり田んぼのカエルを追いかけたりして、目指す徳山鮓へ。
山とはまた趣きが異なる、水辺の自然に囲まれた隠れ家といった雰囲気たっぷりの一軒宿だ。
玄関入ってすぐ、メインダイニングから正面にドーンと開けている余呉湖の絶景がまず目に飛び込んでくる。
奥さんの出迎えを受け、早速案内などをしてもらった。
テラスで少しのんびりしてから、信楽焼の露天もある小ぢんまりした風呂を頂き、18時半からお待ちかねの夕食が始まる。
酒は飲めぬ体質だが、せっかくなので地元の酒蔵の手による徳山鮓オリジナルの日本酒を頂く。
ビワマスの卵が真ん中に控える盛り合わせに始まり、テリブナの造りにその卵をまぶしたもの、吉田牧場のチーズと鯖の熟れ鮓を合わせた品、鰻が載ったもち米の蒸し物、鰻とスッポンの焼き物、猪、鹿、熊といったジビエのハムやサラミに稚鮎が載ったプレート、山椒オイルを合わせた鮒鮓とからすみ、そしてスッポン出汁に熊肉が入った雑炊に、鮒鮓の飯を使ったアイスクリームと続いた。
言うまでもなくすべてが味わい深く、また贅沢ながらも決して重くはならない、とても優しい滋味を持った料理であった。
鮒の刺身は多分初めて食べた。
皿の並びも絶妙で、各種食べてきた後、締めに控える雑炊の味の沁みること。
この上ない晩餐のひと時となった。
これだけの評判を博しながら、家族経営のサーヴィスも非常に暖かく行き届いていて、この徳山鮓を知るきっかけとなった共通の知人の話から発展し、お部屋でさらにどうぞと、追加の酒と料理をご厚意で頂いてしまった。
これは季節ごとに通いたくなるのも当然だ。
2017年7月1日(土)
8時から朝食。
鮎の一夜干しに稚鮎、そしてさらに小さな鮎である氷魚の鍋の鮎尽くしに加え、ゴリの佃煮、鹿のテリーヌに鹿の茶わん蒸しと、まさに湖と山の幸を朝から堪能する。
美味しい炊きたてのごはんもお代わり。
夕飯と合わせて、今が盛りの山椒がふんだんに使われていた。
旬のものを旬のうちに。
帰りがけに次回の予約を押さえ、持ち帰りの鮒鮓もゲットして、至福のうちに徳山鮓を辞去した。
朝降っていた雨もほぼ止んできて、紫陽花園の花を見ながら、余呉湖をのんびり一周。
それから守山の佐川美術館を目指して名神を南下する。
途中、たねや&クラブハリエの守山玻璃絵館でちょっと寄り道も。
田園地帯に突如現れる、地を這うような平屋造りの切妻屋根。
シルヴァーに鈍く輝くその長大な威容こそが、佐川美術館だった。
この存在感は凄いな。
館内のカフェレストランでなかなか美味い昼飯を喰ってから、平山郁夫氏の絵、佐藤忠良氏の彫刻といった常設の主だった展示をまず鑑賞。
内外の雰囲気はいかにもモダンでアヴァンギャルドな美術館や博物館、展示場のそれといったカテゴリーにバッチリハマっている感じ。
これまで訪れたいくつかの施設を想起することも。
14時からは、ガイド付きの茶室見学ツアーに参加した。
地下トンネルをくぐり辿り着く型破りな茶室の実際は私の文章ではとても表現しきれないが、アートに反応する才能がない私でもとにかくド肝を抜かれる凄さだった。
オーストラリアの枕木が並べられた待合、ひんやりと冷たいコンクリートの壁、ジンバブエブラックなる黒い岩で作られた蹲踞、随所で使われている熱帯産の巨大な木材等々...、実際に茶会で使用もされているというが、トラディショナルでオーソドックスな茶道に長く親しんでいる人たちが見たら怒り出すんじゃないかとも感じてしまう、そんな前衛ぶりに感嘆するのみ。
いや、良い経験をさせていただいた。
ツアー後、流れでこの茶室を考案した樂吉左衛門の器を鑑賞し、佐川美術館を後にする。
次はここから近い、草津の琵琶湖博物館へ。
おお、家族連れやちびっこがたくさんだ。
着いた直後にちょうど行われたチョウザメの餌やりを急ぎ見物後、落ち着いて一からゆっくり見て回る。
大物はいないが、ビワコオオナマズ等を始め、さすがに琵琶湖固有種を含む淡水魚は充実している。
展示の仕方も今の時流から外れず、上手くやっていると思う。
大人750円、中学生以下無料でこの内容は素晴らしい、混み合うはずだ。
生体展示以外も含めて閉館時間まで堪能した。
帰途、桂川PAで軽めの晩飯喰って帰宅。
来週の車検の前に、長距離ドライヴにも耐えた。
♪ Ackrite - Dr. Dre