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2017年6月 3日(土)

東北より帰る

8泊9日という、これまでの社会人生活で最長となる出張を終え、ようやく帰ってきた。
目的地は、宮城から福島。
宮城では女川原発や復興が進む街の様子などを視察させていただく機会を頂き、6日間を過ごした福島では主に浜通りを中心に回り、こちらも一言ではとても表現できない数々の貴重な経験に恵まれた。
また、今回の業務でお世話になった福島の系列局の方々にも本当に様々な配慮を賜り、平日5日のうち、なんと4日も入れ替わり立ち代わりで晩飯をご一緒させていただいたり。
毎日朝が早く、比較的ハードな日程ではあったが、その疲れを上回る満足と自身の成長につながる経験を得ることができた。

車窓から豚壱の豚丼殺処分されたイノシシ

これまでも東日本大震災の被災地を訪れたこと自体はあったが、これだけの広範囲を回り、そこに暮らす人たちの話を時間を掛けて聞いたのは、恥ずかしながら今回が初めて。

遠くまで買い物に行けない仮設住宅の人たちのために、毎月赤字を出しながらも店を営業し続ける人がいた。
慣れないスマートフォンを操作しながら、かつて自宅が建っていた更地の様子を写真に収めている人がいた。
うちの漁協より厳しく線量検査をしてるとこはない、あとは何とか保護者にも理解してもらって地元の魚を学校給食に使ってくれたら...、と呟く人がいた。

相馬市の復興住宅で、色とりどりの花々が美しく咲き誇る庭の手入れをしているおばちゃんに声を掛け、話をさせてもらった。
かつて家が建っていたところは津波に呑まれてしまい、一昨年から高台に造られたこの新しい町に住んでいるということで、今は本当に毎日が幸せだと、こちらまで顔が綻んでしまうような笑顔をいっぱいに浮かべて語ってくれた。
あまりにも楽しそうに話されるので、「その笑顔から幸せな様子が伝わってきますよ」と語り掛けた私に返ってきたのは、「やっぱり笑ってるのが一番いいよね。でも津波で息子亡くなったんだよ、消防団員だったから」という言葉だった。
心が一瞬止まった。
何とか会話を続けながらも、私は自分の軽薄さを心底蔑み、そしておばちゃんがこの飛び切りの笑顔を取り戻すまでの6年間という歳月を想像するばかりだった。
おばちゃんの笑顔を思い出すたびに、喉の奥の方から熱いものがせり上がってくる。
年を取って涙腺が緩くなった。

東北の人たちは我慢強いとよく言われるけれど、私が会った人たちも皆、「誰かを恨んでもしょうがないしね」、「誰が悪いってわけでもないからね」、「前向いて生きていかなくちゃ」と仰っていた。
確かに被災した人たち自身にとっては、そうやって気持ちを切り替えていかなければ未来が立ち行かないのだろうと思う。
でも、本当に誰も責任を取らなくてもいいのかな?
地震、津波は仕方がないとして、それに付随する人為的な要因で住んでいる土地を追われ、そこにはもう死ぬまで帰れないよ、と言われてしまった人たちがこんなにもいるのに、誰も目に見える形で何の責任も取っていない今の日本のあり方を誇ることはできるかな?
避難計画が万全かどうか、という論点の前に、事故が起きた場合に住民が避難しなければならないような、今の人類の力では飼い慣らすことができない技術を無理矢理使う合理性はどこにあるのかな?
私たちはジェットコースターに乗っているわけではないんだから、いつでも途中下車はできるし、行先が間違っていると気づいたら進む方向を変えることもできる。
シンプルに物事を考えて、時には引き返す勇気を持とうよ。

帰阪する移動日の今日は、せっかくなので頑張ってさらに早起きし、福島市内の北部にポコンと膨らんでいる信夫山に上ってきた。
周囲を山地に囲まれて盆地状になっている平野部に突如盛り上がっているような山で、それが西宮市の甲山を本当に彷彿とさせるから、多少の睡眠時間は失ってもアタックせねば!

信夫山

ハローワークの北側から上り始め、途中までは車も通る舗装路を。
私が入った山の南部に関して言うと、どうもトレイルの長さ自体はそれほどなさそうな印象。
また、標高は甲山とそれほど変わらないけど、裾野に当たる面積がそれよりもだいぶ広そうで、山そのものの規模は大きく感じた。
なにぶん初めての登頂で距離感が分からないし、ホテルのチェックアウトの時間もあるから少し急ぎめに回ったが、何か所かある展望台まではそれほど時間を掛けずに到達することができる。
今回の目的地は、仕事をご一緒していた地元の人に「ここが一番景色がいい」と教えてもらっていた烏ヶ崎展望デッキ。

烏ヶ崎展望デッキから

無事に何とか迷わず辿り着くことができたが、これは確かに絶景!
あまりの視界の開け具合に、思わずうわあと声が出た。
素晴らしい情報、誠にありがとうございました。
眠かったけど上ってみてよかった。

居合わせた人に撮ってもらった


♪ Rainbow In The Dark - Dio


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