先週末に開催された京都マラソン出場に当たり、前泊、後泊をつけて2泊3日で京都小旅行に赴いた。
2016年2月20日(土)
午前から雨が本降り。
14時過ぎに家を出て車で京都に向かったが、今日はどうやら止みそうにない。
その割には渋滞はそれほどなく、順調に聖護院にある宿泊先の旅館さわや本店にチェックインした。
駐車場を備えていないのでコインパーキングを利用せねばならず、その点はちょっと痛かったが、内装や設備は新しく小まめに手を入れているように見え、また部屋も充分な広さと清潔さで、なかなか快適な宿だ。
陽が落ちきる前に、事前受付会場のみやこめっせへ向かう。
徒歩で10分ちょいぐらいの道のりだが、雨がきついので自然と歩みもゆっくりになる。
会場の第一生命のブースでは尾崎好美さんが記念撮影に応じていた。
受付後、ロームシアター京都と建物を一つにする京都モダンテラスという店で夕食を摂る。
しかしこのあたりもすっかりオシャレになったものだ。
近くのスーパー、コンビニで翌日の朝食などを買い込んでから宿に戻り、風呂に入って早めに床に就いた。
風呂に入ったのは20時台ぐらいだったと思うが、まだどの客も利用前の貸切状態。
土曜だし京都マラソン前日だし、満室だったとは思うが皆夜遅くまで出掛けてているのだろうか?
ちなみにこの旅館は、外国人の利用が約6割とのこと。
2016年2月21日(日)
5:45に起床し、おにぎり、パン、ヨーグルト、バナナの朝食を済ませ、身支度万端で7時迎えのタクシーに乗り、スタート地点の西京極総合運動公園へと移動する。
日曜早朝だし、マラソン当日なので皆車での移動を控えているのか、非常にスムーズに到着した。
何一つ焦ったり迷ったりすることなく、リラックスしてスタートまでの時間を過ごすことができたと思う。
運営についてもこの大会はとても評判がいいようだが、確かにしっかりオーガナイズされているし、トイレなどハード面でも他の大都市マラソンと同等以上の備えだった。
8:30頃、応援の妻と別れてランナー限定エリアに入り、小用を済ませてスタートブロックに並ぶ。
陸上競技場のトラックからスタートできるのは嬉しい。
スターターは門川大作京都市長だったが、見慣れたいつもの和服姿ではなくこの時ばかりは赤いブレザーをまとっており、ちょっと違和感があるじゃないか。
9時ちょうどに号砲が鳴り、マラソンが始まった。
天気は良く、スタート時点の気温はなんとすでに12℃あったらしい。
予報よりだいぶ暖かい。
後で調べたところ、午後に入って陽が陰り寒くなったが、11時には19℃オーヴァーまで達したとのこと!
西京極を出て、まずは桂川沿いを北上し、嵐山から清滝~大覚寺~広沢池~仁和寺~龍安寺というルートを辿る。
大体覚悟はしていたが、序盤のこの区間は上り基調。
ところどころ走路が狭くて他のランナーと肘がぶつかるようなところもあり、またセンターラインの上にある突起物に躓いて派手に転倒している人も見てしまった。
特に仁和寺から龍安寺へ至るあたりはなかなかの斜度だったように思うが、スタート直後の混雑を除くと、概ねプラン通りの5分30秒前後/kmをキープして歩を進め続ける。
仁和寺の門前では僧侶たちが大挙並んで横断幕を持ってランナーを応援してくれており、これぞ京都ならではの光景に驚いた。
他にも、チアリーディングや軽音楽、太鼓にダンスなど、賑やかな応援も多数。
もちろん個々人で手を振り、声を掛けてくれる沿道の方たちもたくさんいて、励まされる。
そして外国人ランナーの割合もとても高い。
今宮神社前を通過したコースはここから、賀茂川沿いを少し上がって折り返し、北山通を東進して再び折り返し、さらに細かい折り返しを繰り返して、府立植物園内を走った後、北大路から賀茂川の河川敷に入り、川端丸太町まで狭い未舗装路を走る。
前日の豪雨にも拘わらず、河川敷はきちんと水が吸われて砂で埋められており、改めてヴォランティアスタッフたちの仕事に頭が下がる。
私が学生時代に2年間居を構えた松ヶ崎も通過し、しばし懐かしさに浸る。
植物園の中では、設えられた赤毛氈敷きの舞台に、舞妓さんが数人並んで音楽を奏でて応援してくれる趣向もあり、これまた京都ならでは。
ただ、丸太町から公道に上がる時にはそろそろ距離も33kmほどに達する頃で、ペースを刻むのにいよいよ余裕がなくなってきた。
コース終盤は、市役所前を通過してから川端通を東一条まで上がり、東大路経由で今出川に出て、京都大学のキャンパスを左右に見ながら白川通で折り返し、東大路を南下してゴールの平安神宮を目指す。
フルーツ好きにとっては、市役所前エイドのイチゴが嬉しかった。
後半に入りペースは徐々に落ち込み始めていたが、何とか35kmあたりまではギリギリサブ4ペースを守っていた。
気力を振り絞って、あと40分、決死の覚悟で足を進めたろうと、これまでの半生で根性とはまったく無縁だった私らしくなく頑張ったが、まず左の首筋にピキッという鋭い痛みが走っておかしくなり、引き続き38km地点あたりで左→右の順番でハムストリングが痙攣してついに立ち止まってしまい、万事休す。
ネットでも4時間切りが絶望となってしまったが、あとはシンプルにゴールを目指すより他ない。
本来であれば、我が母校の前を通るこの区間こそ、最もノスタルジックでエキサイティングなものになるはずだったが、もはや満身創痍でそのような心境に浸るゆとりはなく、唯一、「食いしん坊の店」ってまだやってるんだ...、と感心したのみだった。
最後、東大路から疎水沿いを東に入り、残り数百mのところで、沿道で応援する見知らぬ一人のおっちゃんが誰にともなく向けて放った一言、「あと少しや、頑張れー!」という言葉を聞いた瞬間、胸の内から感情が溢れてきてしまって、走りながら涙が流れ出した。
その感情を明確に言葉で説明することは難しいが、ここまで4時間超足を運び続けたこと、目標に届かなくて悔しかったこと、そしてこの数か月、何某かを犠牲にして練習を積んできたことなどが全部ない交ぜになったようなものだったのだろう。
ゴール手前で出迎えてくれた妻の姿も無事に確認することができ、ゴール。
後日発表された公式記録は以下の通り。
スタートロス 4'39"
0~5km 29'33"
5~10km 27'56"
10~15km 27'08"
15~20km 27'52"
20~25km 28'04"
25~30km 29'41"
30~35km 29'55"
35~40km 35'58"
40km~ 16'36"
ネットタイム 4時間12分43秒(グロス 4時間17分22秒)
今回は、走っている途中でまず足の裏が痛み始めた。
半分を過ぎたあたりだろうか、脚部にはまだそれほど疲労を感じていない段階だったが、徐々に足の裏の痛みが増してくる。
特に、子供の頃の怪我の影響が残る左ではなく、右。
ついで前述のように首、両ハムストリングと壊れ、ゴール後には体幹部の痛みも襲ってきた。
下半身のみならず上半身の左右バランスも悪く、腕振りに問題がある証左だろう、広背筋は左を中心に強張って上手く動かないし、腹直筋がくたびれているのは無論のこと、腹斜筋が攣りそうになるなんて、こんな感覚は初めてだ。
まさしく実力不足、力不足に他ならない。
ピラティスを通じて改善に取り組んでいる左足(脚)がトラブルを生じていないのが、ささやかな救いだ。
わざわざゴールを観に来てくれた仕事仲間のYさんと合流し、妻と3人で遅めの昼飯を喰う。
Yさんと別れ、宿に戻って落ち着いてから、風呂に入り、18時過ぎ、晩飯を喰いに河原町丸太町までブラリ。
もう一度風呂に入って体を温めてから、就寝。
2016年2月22日(月)
7時過ぎに起き、宿の朝食を頂く。
正統な旅館の朝食、といった内容で美味しかった。
この日は、京都市観光協会が主管する「京の冬の旅」というイヴェントに乗っかり、バスツアーに参加する。
通常は非公開の国宝や重要文化財がこのイヴェントに合わせて期間限定でいろいろと公開されており、それを観ることを主眼においたツアーが多数用意されている。
9時前、チェックアウトして、京都駅に移動し、10:10、我々を乗せた観光バスが出発した。
参加したのは「うるわしコース」というツアーで、最初に向かったのは東寺。
五重塔の初層内部を観た後、金堂、講堂に並べられた貴重な仏像群も観賞した。
この後の訪問地も含め、行く先々で見どころを解説してくれるガイドの方々の話は興味深く、また引率のバスガイドさんも若いが15年ほどの経験を有するというヴェテランで、移動中ほぼしゃべりっ放しの持ちネタは豊富で感じもよく、京都の歴史や神社仏閣についてもとてもよく勉強をされているのがしかと伝わった。
ちなみに大型の観光バスはほぼ満席で、閑散期の平日といえどさすが京都。
次いで向かったのは相国寺。
足利義満が建立したことや、金閣寺、銀閣寺との関係などを学んでから、境内へ。
法堂の蟠龍図や方丈の庭園、襖絵などを観賞した。
禅寺における方丈の様式なども教えていただいた。
続いて大徳寺へ移動し、境内にある泉仙という店でまずは昼食。
精進料理をアレンジし、魚や玉子など、本来は使用しない動物性の食品も観光客向けに少々取り入れた、名物の鉄鉢料理を頂いた。
豆乳仕立ての湯豆腐や梅甘露煮の天ぷら、炊き込みご飯などどれも美味かった。
食後、大徳寺の本坊を見学。
こちらの方丈も実に壮麗、見事なもので、枯山水の庭や生け垣の由来など含め、ガイドの解説と併せて見聞すればその価値も呑み込むことができる。
千利休切腹のきっかけとなった三門なども観た。
最後は堀川今出川の鶴屋吉信に行き、創作和菓子の製作工程を見学してから、抹茶と和菓子を味わい、買い物なんかもして、京都駅へ戻って16時、解散。
一観光客として京都を堪能し、西宮の自宅へと帰路に就いた。
♪ Bad as I Am - Hollywood Vampires