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2011年3月 3日(木)

甘いかな

逮捕された予備校生がしてしまったことは紛れもなく不正行為ではあるが、こうしてすべてのマスメディアがトップで特集を組むほどの扱いをすべきかどうか、ということについて考えてみた時、違和感を覚える。
此度の事象がなぜこれほどまでに高い注目を集めたのかといえば、それはひとえに“Yahoo!知恵袋”というオープンなインターネットサイトが舞台として選ばれたからであって、決して事件そのものが凶悪だったからでも救いようがないからでもない。
インターネットおよび携帯電話という比較的新しい、そして社会の中枢を牛耳る層の人々にとってはイマイチ全貌がつかみきれないツールがカンニング行為に使われ、それが衆目に触れるものであったということのみがセンセーショナルであったに過ぎないわけだ。
にもかかわらず、主に行為者にまつわる周辺情報に強いスポットが当てられてしまい、まるで世間そのものを震撼させる猟奇事件を犯したかのごとく報じられている現在の状況には、あえて語弊があるかもしれない言葉を使うならば、かわいそう、とも感じられる。
繰り返すが、彼がやった行為は決して許容すべきものではなく、露見して身柄を拘束されてしまった以上何らかの責めを負うべきだが、別に人を殺したわけでも残虐非道な蛮行を為したわけでもない。
仮に投稿したサイトがYahoo!知恵袋でなく、もっと閉じられたコミュニティなどであればおそらく事はバレることなく、彼は無事に入学を果たしていかもしれない、その程度の出来事である。
実際、今回のケースは氷山の一角に過ぎず、デジタルツールを駆使した不正行為で合格を拾った受験生は過去も含めてたくさんいると考える方が自然ですらある。

もっと他に、メディアが攻撃すべき悪辣な対象は世に遍く存在しているのではないか?


♪ Old Man - Neil Young


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