今だから振り返ることができる、一歩間違えれば大惨事
かれこれ1週間ほど前のニュースだから若干古い話なんだけど、かいつまんで言うと、「Aという男性が泥酔状態で車を運転し、人身事故を起こした。Aはもちろん刑事責任および民事責任を問われるが、Aが車に乗る直前まで一緒に酒を飲んでいた友人のBという人物にも民事賠償責任ありという判決が下された」という内容の報道。
Bは車に同乗すらしていないけれども、明らかに危険な状態で車を運転しようとしていたAを止めなかった、という点において責めを負うべき、ということだ。
正直、僕はこのニュースを見て背筋が薄ら寒くなったよ。
僕の大学時代からの友人に牛頭大王という男がいるのだが(当コーナーにもしばしば登場する)、あれは我々が社会人になって間もなくのことだから10年ほど前になろうか、当時1人暮らしをしていた僕の部屋でしこたま飲んでいた(僕は酒が飲めないので牛頭大王だけ)。
学生時代から酒を飲むというよりもどちらかというと酒に飲まれるタイプだった牛頭大王、その晩もご多分に漏れず大いに酒に飲まれ、泥酔などという言葉では生温いほどの酩酊状態に陥り、ギャグマンガの主人公でもここまで見事な千鳥足は踏むまいといった具合に3歩たりとも真っ直ぐ歩けない。
今思えばこそ実に愚かなことに自分の車で我が家に遊びに来ていた彼は、そんな状態でも「明日は仕事に行かなきゃ」と強迫観念的な大人の責任を主張し、壁にぶつかり階段で転びつつも運転席に乗り込み、道のり30分以上は掛かる自分の部屋へと帰っていったのである。
それを見送る僕はといえば、フラフラになってまともに歩けもしないのに必死で車に乗って我が家へ帰ろうとする牛頭大王を見て、なんとも言いようがなく楽しくなってきて1人でウフウフと笑っていたことは明快に思い出せるのだが、真剣に心配して引き止めた、あるいはタクシーでの帰宅を勧めたというような記憶は恥ずかしながら、ない。
あるいは「もう泊まっていけよ」ぐらいは言ったかもしれないが、「いや帰るよ」「ああそうか」とあっさり引き下がったに違いない。
という風な昔の出来事が閃光のように甦ってきて、冒頭の薄ら寒さを感じたのである。
今回の裁判におけるBの立場はまさしく10年前の僕自身、これで賠償金払わなきゃならないんなら何があっても止めたよ、牛頭大王。
止める根拠が牛頭大王の命じゃなくて賠償金でごめん。
ちなみに10年前の牛頭大王はどうなったかというと、片側1車線の道路でセンターラインを完全にはみ出し、正面衝突寸前で対向車の怒涛のクラクションに起こされ間一髪、というようなことはあったらしいが、それでも幸運なことに当時彼が住んでいた会社の独身寮に何とか辿り着くことができた。
が、しかし、辿り着いたことそれ自体によって彼の目的遂行意思は達成感に満たされてしまったようで、寮の駐車場に停めた車の運転席でそのまま意識を失ってしまい、勤務先から「牛頭大王無断欠勤」の報を受けてあたりを捜索していた鬼寮長に発見される昼過ぎまで眠りこけていたらしい。
「仕事に行かなきゃ」があったから無理して帰ったのにね、残念。
♪ Psychedelic Eyes - Electric Boys
牛頭大王の指摘により、正面衝突を起こしかけたのは片側1車線の道路ではなく、3~4車線ほどもある大きな幹線道路だった、ということが判った。
超然ですな。
コメント
ハハハハ。やはり若かりし頃ってのは、誰でも似たような経験があるものですなぁ(^_^;)ゞ
私も同僚と飲んで盛り上がり、お互いけっこう飲んでいるのに(歩けないほどではなかったけど……笑)
「海だ! 海へ繰り出そー!!」と、無謀にも酔っ払いの癖にドライブするぞって話になりまして。運転は相手の男性だったんですが、私は助手席でワイワイ同調して騒いでおりましたデス。
幸運にも、同乗していたもう一人にまだ理性が残っており、必死になって止めてくれたのでドライブは中止になりましたが(笑)
アレも決行してたらどうなっていたことやら……考えると空恐ろしい(^_^;)
でも、飲むなら乗るな。こういう判決はイイコトだと思いますよ。一度事例ができると抑止力にもなりますし。
酔っ払いをどれだけ抑止できるかは疑問ですが、少なくとも飲んでない周りの人間には効き目ありますよね。賠償金払いたくないもんな~(苦笑)
Posted by: ヒ~ | 2006年8月 4日 09:38
うむむ
普通に危ないんだというコトを、再認識しましたよ
あの人 呑んでから車で御仕事に行くので、辞めさせます
つか、また呑んで酩酊前後不覚でなければ乗って帰ってくるので 外で呑まれるのも怖いのです
・・・賠償金とか無理だし、ちゃんと制止します
Posted by: ともみ | 2006年8月 4日 12:17
懺悔はこちらでよろしかったでしょうか。
酒に酔って原付を二人乗りしてつかまったり、
無免許でバイク二ケツで捕まったり、いやあ、大変でした。
でもものすごく酔っていたわりには、アルコール検査では基準値以下でしたね。
なんていうか、この日記を読んで、他人を断罪するのではなく、
FTさんのように自戒すべきだと感じました。
だって、日々、とりかえしのつかないことばかりして、
われわれは暮らしています。
それは悪いことだ、と他人を糾弾するのもほどほどにして、
われわれは自分自身をこそ、いろんな目でみるべきですね。
だって、FTさんやわたしの述懐は、
ともすれば激しい非難の的ですよ。
現代人は、他人の悪いところを非難する術だけ、
学んできたような気がします。
Posted by: jiji | 2006年8月 4日 14:27
>ヒ~
それは止めてよかったよかった、本当に。
自分は酒を飲まないのでこういった事象には関係ないだろうな~なんて意味もなく思っていたのですが、そうでもないと知ってマジで背筋が凍りましたよ…。
>ともみ
いろいろあるけど法治国家に住んでいる限り法令遵守に努めざるをえませんな。
これからは人にも強制する時代だ!
>jiji
ホントだ、よく読んだらあびる優ちゃん並みの犯罪告白にも等しいものがあるじゃないですか!
こりゃ参った。
見逃してくれませんかね。
Posted by: FT編集長 | 2006年8月 5日 23:51