札幌1泊バスケ観戦小旅行記
一昨日から昨日にかけて札幌へ1人旅に行ってきた。
目的は前エントリーにもある通り、現在開催中の「FIBA バスケットボール世界選手権」のグループゲームラウンド グループDを観戦すること。
神戸空港12:05発のANAに乗って新千歳空港へ降り、JRで札幌駅へ。
そこでジンギスカン弁当で遅めの昼食。
駅構内のそこかしこでものすごい人だかりができているので何事かと思いきや、高校野球決勝戦 駒大苫小牧vs早稲田実業が行われている最中。
なるほど。
16時少し前、会場の「きたえーる」に到着した。
飛行機の時間の都合上、第1試合のプエルトリコvsセネガルは観れなかったが、第2試合のスロヴェニアvsイタリアのティップオフは16:30なので充分間に合った。
余談ながら札幌駅からの地下鉄の同じ車両に、スロヴェニア人の応援団と乗り合わせた。
選手ではないのにやつらの平均身長は目測185cm。
さすがだ。
席はなんとなんと最前列なのですぐ目の前で代表選手たちが練習している。
これは試合開始30分前といえども席を離れるわけにはいかんな。
国民性の違いなのか、それとも単に僕の気のせいか、イタリアの選手の方が練習では手を抜いているように見えた。
観客はと見れば対照的に、スロヴェニアの応援団の方が陽気で騒がしいじゃないか。
人数も確かにイタリアよりも多かったが、ちょっと意外。
そうこうしているうちにアナウンスが聞こえ、いよいよスロヴェニアvsイタリアが始まった。
世界ランクはイタリアの方が上だが、個人的には、ラドスラフ・ネステロヴィッチ、ボスジャン・ナックバー、プリモ・ブレゼッチ、ベノ・ウドリーという4人のNBAプレイヤーを擁するスロヴェニアの方が強いのではないかと予測。
旧東欧チームの常で、ビッグマンも多くインサイドでもイタリアを圧倒しそうな気がするが...。
果たして試合が始まってみると、第1クォーターはスロヴェニアが大量リード。
国際ルールならではの密集したタイトなディフェンスの中、さすがの最前列、飛び散る汗も見えれば体がぶつかり合う音も聞こえる。
すげー!
特にスロヴェニアのディフェンスが面白いぐらいに機能しており、イタリアは全然中に入れない。
時間がなくなって苦し紛れに無理な体勢からアウトサイドを撃ってミス、のパターン。
対してスロヴェニアはネステロヴィッチ、ナックバー、ブレゼッチが前評判通りの活躍でコンスタントにスタッツを積み重ねている。
こりゃこのままスロヴェニアの楽勝か...?
ところがところが、後半に入ってから流れが変わる。
スロヴェニアのリズムが攻守ともにおかしい。
前半のリードで勝ちを意識した?
あるいは陽気なイタリア人が死に物狂いになった?
イタリアのショットの精度が抜群に上がり、特にガードのマルコ・ベリネッリ、ファビオ・ディ・ベッラ、ジャンルカ・バジーレが目立つ。
とりわけベリネッリの超人的な活躍はすごかった。
彼は現在イタリアの国内リーグでプレイしているみたいだが、まだ20歳、NBA入りの可能性も充分あるんじゃないか?
最後の最後までもつれた好ゲームは、結局イタリアが80-76の僅差で勝利!
いやー、面白い試合だった!
紛れもなく世界の戦いだ。
この後はいよいよアメリカvs中国。
観客も増えてきたし、練習の時から大いに盛り上がる。
ドウェイン・ウェイドが、レブロン・ジェイムズが目の前でシューティングをしているこの世のものとは思えぬ光景に恍惚。
アップでダンクやアリウープを繰り出すたびに大きな歓声が上がる。
USAの選手たちもそれを楽しんでいるようで、リラックスしているカンジ。
しかしいかにも好調そうなカーメロ・アンソニーやシェーン・バティエ、ウェイドと違い、レブロンはちょっとシューティングの精度も低く、ハンドリングも不調みたいだ...。
ちなみに観ていたらルディ・トムジャノヴィッチが目の前を通ったのでビックリした。
アシスタントコーチにも入っていなかったが、何かのスタッフとして帯同しているようだ。
対する中国チームにも、個人的には大いに興奮した。
ワン・ジジとモ・ケはイタリアvsスロヴェニア戦の終盤にスタンドに姿を現していたし。
また、次にNBAプレイヤーになる中国人、と僕が勝手に思っている、スピードとテクニックに溢れた18歳のビッグマンであるイ・ジャンリャンを観るのも非常に楽しみ。
もちろん誰よりも忘れてはいけない、ヤオ・ミンも健在、229cmの体はやっぱりありえないや!
ケガで出場が危ぶまれていた時期もあったが、とにかく出られてよかった。
19:30、USAvs中国が始まった。
最初からアメリカがとばす。
確かに中国はアジアでは比類なきチャンピオンチームだが、それなのに、こと身体能力だけをとってもやはり目に見えて違う、アメリカは。
また、普段NBAでプレイしている選手にとっては国際ルールのスリーポイントラインはスリーポイントラインではなく、決してNBAではスリーポイントシューターではないアントワン・ジェイミソンやバティエやメロがポコポコとスリーを決める。
特にメロは開始早々から早いペースで得点を重ねている。
もちろん攻撃のみならずディフェンスもしっかり機能しており、このあたりはカレッジ・バスケットボールを知り尽くしているコーチK、マイク・シャシェフスキーの手腕のなせる業か。
チーム編成のバランスがいいということもあるだろう。
スターを12人集めるのではなく、数人のスーパースタープレイヤーと、多くのロールプレイヤーを集めたことは大成功だったと思う。
NBAのシーズン中は並以上のディフェンダーではないメロも頑張ってDしていた。
レブロンは練習時に感じた心配が的中し、シュートタッチが悪くイマイチ調子が上がらない。
また、ちょっとした驚きだったのはスターターを務めたドワイト・ハワードがセンターとして見事に働いていたこと。
NBAに入った当初は線が若干細かったが、たくましく成長している。
ビッグマンの少ない今回のUSAチームにおいては重要なインサイドプレイヤーとなるだろう。
アメリカの大量リードで折り返した後半、なめたのか油断したのか、中国が一気に差を詰め始めた。
ヤオ、イ、ジジはもちろんのこと、7番のワン・シペン、5番のリュー・ウェイ、そして4番のチェン・ジャンハあたりが素晴らしい活躍を見せる。
特に印象に残ったのがシペンの得点力とチェンの速さ。
185cmのガード、チェンはデータを見るとなんとまだ17歳!
こりゃすごい。
彼もまたNBAのスカウトのチェック網に掛かったことは間違いないだろう。
よくよく見ると中国は20歳前後の若い代表選手が多い。
個人個人のプレイ、チームプレイともに、やっぱり悔しいんだけど日本を明らかに超越しているんだな、さすがアジアの雄。
イもダンクを4~5本決めていたし、パワー不足は否めないがとてもよくやっていたと思う。
212cmであれだけ動けるアジア人はいないぞ。
ところがそんなアジアチャンプが猛追したところで、追いすがれないのが今回のUSAチームの強さ。
差を詰められた、といってもまだ約20点差がある段階で、アメリカは驚異のオールコートプレスを掛けてきた。
カーク・ハインリックが、ウェイドが、クリス・ポールがフルコートに渡って圧力を掛けている。
たまらずターンオーヴァーを連発してしまう中国を誰が責められようか。
繰り返すけど本当に今回のUSA代表の本気ディフェンスはすごい。
攻撃も無論破壊力抜群で、ファストブレイクではレブロン、ウェイドがダンクを連発。
またハインリックやポールのガード陣も観客が何を観たいのか心得たもので、ファストブレイクではちゃんとフィニッシュにつながるパスをウェイドかレブロンに送る。
ちなみにレブロンとウェイドはSGの裏表としてこの試合は起用されていた。
2人が同時にコートに立つことはたぶんなかったはずだが、ウェイドが引っ込んでもレブロンが出てくるという、対戦相手からしたら悪夢のようなローテーションが実現していたのだった。
ダンクに跳んだハワードに対してブロックにいったイ、確かにボールをヒットしたはずなのにそんなことなどお構いなしにリムに叩き込まれ、おまけにファウルまでとられてしまい、放心したように首をかしげていた姿が印象的だった。
今回の大会は、ただ「勝つ」のではなくて、「圧倒的に勝つ」ことを目標に掲げているのだなアメリカは、ということがひしひしと感じられた。
若い中国も、ヤオとイのブロックなど、ディフェンスも頑張ったが、ヤオは無念のファウルドアウト。
判定には相当怒っていたけど...。
高さでは中国も充分対応していた、というかインサイドプレイヤーの身長はむしろ上回っていたぐらいだが、フィジカルで圧倒されたといっていいだろう。
残り7分30秒の時点でアメリカはすでに100点オーヴァー、いやあ、これまたいい試合を観せてもらった!
デューク大での教え子、バティエらにこれ以上ないといった最高の役割をキッチリプレイさせるコーチKのもと、Dにも本気で取り組むUSAの気合を見た。
こりゃ決勝は間違いないんじゃないかな?
興奮状態のまま超満員の地下鉄に乗ってきたえーるを後にし、豊水すすきのという駅で降りて徒歩でホテルを目指す。
途中、10人ほどの行列を作っているラーメン店、「ラーメンの寶龍 総本店」という有名店の前を通り掛かって、せっかくだし1杯喰って帰るかと並んでみた。
結果的にこの判断が直後の幸運につながったわけだが、メニューなど見ながらボーっと路上に並んでいたら、なにやら向こうからデカい外人4人組が歩いてこちらにやってくる。
お、お、お! これはひょっとしてスロヴェニア代表のラショ・ネステロヴィッチ他ご一行ではないのか!
これはまさに千載一遇の機会、すかさず話し掛け、首尾よく一緒に写真を撮ってもらったのだ!
ネステロヴィッチはすでにNBAで8シーズンを過ごしているスロヴェニアの中心プレイヤー。
彼の顔と名前はバッチリ知っていたので声を掛けることができたが、さすがに他の3人のプレイヤーは分からなかった。
後で調べたところ、マルコ・ミリッチ、サショ・オズボルト、ゴラン・ドラジッチというプレイヤーだったようだ、たぶん。
いやー、しかしNBAプレイヤーと街で遭遇、写真まで撮れてしまうとはなんとラッキーな!
ちなみにラショ他の皆さんは、試合に惜敗した夜だというのに親切に対応してくれた。
ナショナルチームの選手なのに、交代でカメラのシャッターまで押してくれて!
ええやつらや!
幸せな気分で入った「ラーメンの寶龍」、ちょっと濃い目の味噌ラーメンは確かに美味かったかもしれんが、なんにしろ待たせ過ぎて呆れた!
席に座るまで並ぶのは仕方ないから納得するが、席に座ってからラーメンが出てくるまで50分!
こんなラーメン屋は初めてだ。
宿泊は「札幌エクセルホテル東急」。
翌21日。
この日はSNSで知り合った札幌在住のお友達、ヒ~さんが遊んでくれることになっているのだ。
10:15に札幌パークホテルというところで待ち合わせ、定刻に問題なく対面を済ませる。
いやあどうもどうも。
まずはお茶を飲みつつ話をしていたのだが、隣のテーブルに座っていたのは明らかにバスケットボール イタリアチームの関係者たち。
彼らの帰り際、目が合ったので何気なく会場のきたえーるで買ったグッズなどを見せながら「昨日ゲーム観たよ。ベリネッリはすごかったね!」などと話し掛けてみたらビンゴで、なんとスタッフの1人が青いイタリアチームのTシャツを僕とヒ~さんの分、2枚くれた!
いやー、またもラッキー、話し掛けてみるもんだなあ。
午前中は中島公園というところを案内してもらい、その中にある「豊平館」という文明開化の匂いがする建物にも入ってみた。
地下鉄に乗り、昼飯はヒ~さんオススメの超美味い回転寿司店(といってもヒ~さんもこの店舗は初めてとのこと)、札幌駅にある「花まる」という有名店へ。
ぬおお、すごい、11:30に着いたのにもう大行列だ!
観光客も、地元のおばさんも、1人できているおっさんも、外人2人組も並んでいる。
これは楽しみではないか。
ほどなくして席に着き喰い始めたが、噂に違わずすごいんじゃないの!
ネタの質、これに尽きる。
生さんま、ほや、サーモン、いくら、かにみそ、うに、はまちなどなどが忘れられぬ。
大阪でこれを食べようと思えば3倍、払わなければならないだろう。
外人も器用に箸を使いつつ、ガリも喰いつつ、メニューを読みながら「スイマセン、コノ、ウニ、クダサイ」、と頼んでいる。
日本在住か?
昼食後、隣接するJRタワー展望室へ。
好天の札幌市街を眺めながら、ヒ~さんとスポーツの話題、仕事の話、カメやヘビの話などなど語らう。
思っていた通り知的な人で、共通の話題も多く楽しい会話だ。
けどちょっと秘密主義だ、この人は(笑)。
このあと、ヨドバシカメラに入ってヒ~さんがキーボードを買ったり、近くの「赤れんが庁舎」を見学したりしつつ時は過ぎ、16時前、札幌駅で別れる。
いやー、本当に貴重な時間を割いて遊んでいただいてありがとうございました!
またまた。
新千歳空港でお土産を買い、17:30発のJALで伊丹へ。
満員だったのでクラスJに乗ってみた。
お菓子が美味かった。
伊丹空港で迎えに来てくれていた妻と合流、空港の中で夕飯食べて帰る。
リムジンバス乗り場で仕事仲間のMさん一家に会ってビックリ。
家族で沖縄旅行行かれていたそうで!
まったく関係ないが、激戦という言葉を超えた死闘だった高校野球 決勝戦、老婆心ながら斎藤くんや田中くんがもし将来プロ入りするとして、この連戦連投が彼らのキャリアに悪影響を及ぼさないようにと、切にそればかりが思われる。
♪ Cuckoo - Curve
コメント
日記というか、ちょっとしたレポートですね(笑)
神戸空港使った人初めて聞きました!
おつかれさまです!
Posted by: まゆまゆ | 2006年8月22日 13:37
ワッハッハッハ。謎の女です。。イイじゃありませんか。ミステリアス(笑)
女にはどこか秘密がなければね。フフフフフ。
スポーツ観戦は、やっぱり生に尽きますな。リポートにも臨場感がたっぷり。生はなんたって迫力が違う!一体感が違う!
次の観戦も楽しんできてくださいね。また何かしらラッキーに出会えるとイイですね。
何はともあれ、ありがとうございました。またゼヒゼヒ遊びましょうね♪
Posted by: ヒ~ | 2006年8月23日 03:00
>まゆまゆ
書き出したら長くなってしまったわ…。
神戸空港は実は初めての利用ではないのだよ↓
http://www.kaiyou-k.jp/archives/2006/03/wbc.html
>ヒ~
いやはやどうもどうも謎のねえさん。
まあ謎は謎のままでもいいかもね…。
書きながら「誰もわかんねーだろなあ」と思いつつも一気に綴ってしまいました。
再来週も気合入れて観てきますで。
またまた。
Posted by: FT編集長 | 2006年8月23日 03:59
スゲェ。編集長が小さく見える。
Posted by: KamaQ | 2006年8月23日 23:18
すげーよな、これは。
175cmの俺がまるで小人。
180cmの君が並んだとて変わらんな…。
ちなみに俺の隣にいるネステロヴィッチさんは213cmなんだが、NBAのセンターとしては並サイズです。
その右の選手は190cmぐらい、右端の人は200cmぐらいあるはず。
Posted by: FT編集長 | 2006年8月24日 04:11