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2006年3月12日(日)

佐渡裕による「大澤壽人とその時代」

今日は兵庫県立芸術文化センターで行われた「大澤壽人とその時代」というコンサートに妻と行った。
指揮は芸術監督の佐渡裕、演奏は兵庫芸術文化センター管弦楽団。
曲目は組曲「路地よりの断章」(大澤壽人)、「パリのアメリカ人」(G.ガーシュウィン)、「ディヴェルティメント」(J.イベール)、ピアノ協奏曲第3番「神風」(大澤壽人)。
席はなんと前から1列目、もう1m先がステージというド迫力。

大澤壽人(1907~1953)という人は僕は今回初めて知ったんだけど、神戸の裕福な家庭に生まれ、ボストンやロンドン、パリに留学した後帰国、当時の西欧音楽界最先端の作風を採り入れた、交響曲を含む数々の作品を日本で披露するもあまりにも先を行き過ぎていたためか充分に評価されず、映画音楽やラジオの仕事、宝塚歌劇団た松竹歌劇団のレヴュー作曲家として、またシンフォニック・ジャズ作曲家として活躍していたとのこと。
半世紀を経た今、当時は理解されなかったモダン・クラシックなそれらの作品群が陽の目を浴びているらしい。

今日のコンサートはNHK神戸放送局の岡愛子という女子アナが司会を務め、指揮者の佐渡裕の各曲についての解説や大澤その人にまつわるエピソードトークなどが随所に挟まれるという進行だった。
こういった構成はただ演奏のみをひたすら続けられるよりも僕たちのような素人にとってははるかに分かりやすくて親切だ。
地域社会に一つの文化を定着させ根を張ろうと試みている兵庫県立芸術文化センターの心意気がとてもよく表れていた構成だったんじゃないだろうか。

確かに当時としてはともすればエキセントリックでアヴァンギャルドであっただろう大澤壽人の曲ももちろん聴いていて面白かったが、楽曲的に僕が今日の演目の中で一番好きだったのはジャック・イベールの「ディヴェルティメント」。
わずか16人のオーケストラで演奏される、とても軽妙で小気味良い作品だった。

さすがに最前列、佐渡裕の飛び散る汗も見えれば気合とともに漏れる呻き声も聞こえ、とても小さなヴォリュームで奏でられるヴァイオリン・ソロのフレーズもはっきりと追うことができるし、最後のピアノ協奏曲の時にはピアニストの超絶的な手元も非常によく見えた。

かなりの紙幅を費やさなければ正確な意図を説明することはできないと思うので一言だけ書いておくと、確かにオーケストラという音楽演奏は様々な表現の可能性を内包していることには違いないだろうが、それでも僕が思うのは、そこには厳然と限界というものが存在するし、そしてその限界は飛び抜けて高いものではない、ということ。
ヴァイオリンやヴィオラやチェロやコントラバスやピアノやホルンやトロンボーンやファゴットやオーボエやクラリネットやフルートやティンパニなどなどで表現しうることはとても多様ではあるけれど、ある意味では画一的で単元的である、という私見。


帰ってから水槽の水換えと掃除をした。
ちょっと風邪気味のようで、咳と頭痛に加え、花粉症が重なってもう大変だ。

もうすぐF1開幕戦の放送が始まるな。


♪ Love Like A Man - Ten Years After


コメント

佐渡さんの振る音は、ゼヒ一度聞いてみたいです。
でも最近はコンサート自体いってないなぁ(^_^;) 生で聞く迫力って素晴らしいんですけどねぇ。
f1はたった今終わりましたナ。佐藤琢磨。最後尾ながらも完走。まだまだ第一歩とはいえ、一戦目としては上々の結果ではなかったでしょうか。
しかし「奇跡、奇跡」と連呼するのはドーヨと思ったケドね……(苦笑)

私も何度か佐渡裕氏のコンサートは観ました。
迫力ある指揮法に釘付けでした。何時間もあのパワーを出し続ける体力はどんな努力をしても私には一生無理でしょう。(ノд-。)

ヴァイオリンを教える合宿もあるので参加してみたいです♪

「ブラスト!」というアミューズメント舞台も何度か観たのですが、その中の日本人のドラム&パーカションの石川直さんとの共演も楽しかったです。(これはシエナウインドオーケストラで参加していました)

>ヒ~
ものすごい努力の賜物とはいえ、完走するだけで奇跡ってレヴェルで参戦することについての是非…。
オールジャパンチームってのは確かにうれしいけど、複雑な思いもしますな…。

>珠稀
本当にものすごくパワフルですね、佐渡さん。
汗ボタボタでした、ずっと。
珠稀さんのように経験も知識もある人が聴くとまた違うんだろうなあ…。

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