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2006年1月18日(水)

福岡レッドファルコンズの惨状に始まり

JBLスーパーリーグに今季から参入した新チーム、福岡レッドファルコンズが極度の経営難に陥り、社長は交代、選手の給料の遅配や未払いにまで至っている、というニュースが流れたのは昨年末。

僕がこの雑記でも2度ほど観戦記(2005年11月20日2006年1月8日)を書いた、今季発足した日本初のプロバスケットボールリーグであるbjリーグは確かにアメリカを習ってよくショーアップされているし、そのチャレンジング・スピリットを含めて応援する気持ちはもちろん強く持っているが、やはり日本のバスケットボール・シーンの最上位に位置するリーグはJBLに他ならない。
これは間違いない。
プレイヤーをとってみても、日本最高のポイントガード、佐古賢一を始め、北卓也、折茂武彦、古田悟、外山英明、高橋マイケル、節政貴弘、宮田諭、渡邉拓馬、五十嵐圭、青野文彦、伊藤俊亮などいった、本当に日本のトッププレイヤーと呼べる(呼べた)人たちは皆JBLにいるし(新潟アルビレックスと行動を共にした長谷川誠は例外)、中にはスコット・バレルといった、NBAでバリバリのスターターを張っていた外国人なんかもいたりする。
こういった書き方をしてしまうのは本当に失礼なことかもしれないが、高校や大学でオールジャパン・クラスと言われた選手たちはまず最初の選択肢としてJBLスーパーリーグ入りを目指し、それに届かなかったらbjリーグのトライアウトを受ける、といった流れがもっともポピュラーで多数を占めるであろうことは想像に難くない。
それは仕方のないことだと思う。

前にもチラッと書いたことがあるが、bjリーグとは、もともとJBLに所属していた新潟アルビレックスとさいたまブロンコス(現 埼玉ブロンコス)が速やかなるプロ化をぶち上げ、なかなか重い腰を上げようとしないJBLに業を煮やしてケンカ別れという形で飛び出して設立したリーグ。
よってJBLとbjリーグは未だに明白な対立関係にある。
JBLが各都道府県のバスケットボール連盟に対し、「bjリーグに一切の協力をしてはならない」なんて、脅しともとれる通達を出すという子供じみた嫌がらせをするぐらいに。
話がややこしいのは、JBLとbjリーグというこの2つの団体は立場的には決して対等、同質のものではないということ。
どういうことかというと、日本という国体を代表してバスケットボールを司る組織は日本バスケットボール協会(JABBA)=JBLであり、bjリーグは今までのところどこまでいっても単なる独立リーグでしかない。

つまり、いわゆる“日本代表”と呼ばれる、公式な国際試合に参加するチームの一員になるためには、bjリーグではなくJBLに所属していなければならないということになる。
日本バスケットボール協会(JABBA)が選出する五輪代表(ここしばらくは出場すらできていないが)や世界選手権代表メンバーは、bjリーグの選手から選ばれることは絶対的にありえないのだ。
これをもって、その伝統や歴史やプレイレヴェルもさることながら、有望な学生プレイヤーが第一にJBLスーパーリーグを目標に定めることはとても自然なことなのである。

前置きが長くなってしまったが、今まで企業が母体の実業団チームが中心だったJBLスーパーリーグに、完全プロチームとして今季から参入したのが、冒頭に記した福岡レッドファルコンズ。
これまでも個人単位ではチームとプロ契約をしている選手は何人かいたし、旧大和証券を母体としていた新潟アルビレックスも実質的にはプロチームと言えたが、基本的にはJBLの選手たちは大部分、会社員という身分で各企業に属しながらバスケットボール活動を行っていた。
だから、選手全員がプロ契約、まさにバスケットボール活動のために作られた福岡レッドファルコンズは、新潟アルビレックスの後釜ということもあって、ファンや関係者からとても注目されたし、僕も気になっていた。
余談ながら日本バスケットボール協会(JABBA)は2007-2008シーズンよりJBLスーパーリーグをプロリーグ化することを決定しており、今季福岡レッドファルコンズの参入を認めた裏には、来々季のプロ化へ向けた布石、あるいは試金石としたかったという一面もあったのではないか、と個人的には思う。
そのプロリーグ化がもう3年早まっていれば新潟アルビレックスとさいたまブロンクスも留まって丸く収まったはずなのに…、と今さら嘆いてみてもそれはもう仕方がない。

そんな注目のJBL初プロチーム、福岡レッドファルコンズが財政難に陥り、チームはシーズン終了を待たずに解散か、なんて憶測も飛び出すほどの惨状だというではないか。
いろいろと報道を吟味したりチーム発表の声明などを読むにつれ、その経営のあまりの杜撰ぶりに半ば呆れてしまう。
チームがリーグに対して提出したというこの質問書(pdfファイル)を見ると、「加盟金を支払った痕跡がありません」だの、「当時の状況を把握しているスタッフがいないためスーパーリーグ参入の経緯を確認する資料がございません」だの、「過去の経営内容に関する諸件について、刑事告発も視野に入れて云々」だのといった、およそ信じられないコメントが書き連ねられているではないか。
たかだか半年前の参入の経緯に関する資料が見当たらず誰にも確認できないなんて、正気の沙汰じゃない。
異常だ。

今回のゴタゴタに関して、JBLの監督不行き届きこそが最大の原因であり責であるとする意見も少なくないようだが、やっぱりどう考えたって一番悪いのはチームの運営者側だと僕は思う。
確かに今までの数々の問題を見ても分かるように、ある意味お役所的、旧態依然としたJBLの対応はえてしてスムーズだとは決して言えない。
このたびの質問書に対するJBLのリアクションもまた、「またかよ…」と思うほどどうしようもないものであったりする。
微に入り細を穿ってその責任を追及していけば、もちろん新参チームにまかせっきりで財政面も含めたチェックを怠っていたJBLにもその一端はあると言えるのかもしれないが、そうはいっても相手は子供じゃなくって歴としたプロスポーツ団体。
当然その経営、運営に関しては一切の責任を負って然るべし。
件の質問書を読む限り、経営にまつわる犯罪行為が内部で行われていた可能性もあるようだし、意地悪な言い方をすれば、今回の問題は詐欺的ですらある。
どちらにせよ、とてもまっとうな営利団体の所業ではない。

まあそもそもが設立そのものがあまりにも急ピッチ、穿った見方をすれば、JBLスーパーリーグを脱退してしまった新潟アルビレックスの穴埋め? とも思われた福岡レッドファルコンズだから、そういった迂遠な意味では犠牲者とも言えるのかもしれないし、この点にこそJBLの犯した最大の失策があるのかもしれないけれど…。
もしチームが誕生した時からこの悲劇的な結末が予見されていたのだとしたら、それはあまりにも悲しい。

応援していた人たちももちろんだけど、何よりも気の毒なのは選手たちに他ならない。
特に福岡レッドファルコンズには、僕が大学生の時に生でそのプレイを目の当たりにしてド肝を抜かれた川面剛選手が所属している。
当時流通科学大生だった川面選手は僕より2つほど年下だったはずだが、僕と同じ175cmの身長ながら練習の時に繰り出したダンク!
こんな選手こそがオールジャパンと言われるのだろう、と呆然と見とれていたのを覚えている。
彼は松下電器パナソニックスーパーカンガルーズで一旦現役を引退しながらも、故郷福岡に新チームが誕生したということで翻意、希望を持って入団した(はず)。
他にも、新潟アルビレックスがJBLスーパーリーグを脱退してbjリーグを設立するに当たって、アルビレックスを退団してJBLに残るという選択をし、その入団先に福岡レッドファルコンズを選んだ選手も何人かいたりする。
憂き目を見てしまったのは彼ら以外にない。

ここにきてJBLに見切りをつけたのか? 福岡レッドファルコンズの船田幸夫社長代行がbjリーグへ移籍したいという申し出を行い、bjリーグの会長を務めるインボイスの木村育生社長がそれを歓迎する旨のコメントをしたという報道もある。
ひょっとしたらこんなことがきっかけになってJBLとbjリーグの距離は縮まるかもしれないし、あるいはより溝が深まることになるのかもしれない。

またしても日本バスケットボール界に差す暗い影。
2007年に発足するJABBAのプロリーグとbjリーグが1つになり、日本のバスケットボールファンに高い質のゲームとプレイとエンターテインメントを提供してくれることを切に願う。
河内さん、お願いしますよ。


♪ Epic - Faith No More


コメント

バスケットつながりでこちらのブログを拝見いたしました。福岡の状況、ネットで話題になっていますね。バスケファンとしてはダーティーなイメージがつかないようにして欲しいと願います。。。

コメントありがとうございます。
昨日になってついに正式な脱退&解散が発表されてしまいましたね。
何とかしないと日本の男子はこのままでは永久にオリンピックになど出られないかもしれません…。

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